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「あ、そういえば。掃除道具って、ゴルフ部に返しに行かなきゃじゃなかったっけ?」
「そうだそうだ。返さなきゃだった」
「じゃあ、私が返しに行くよ。ゴルフ部なら知り合いもいるし」
「透1人で大丈夫?私も行こうか?」
「ううん。箒と塵取りだけだし、大丈夫だよ。行ってきます!」
「はーい、いってらっしゃい」
33、5話
箒と塵取りだけ持って元気よく歩き出す。
・・・歩き出したものの、
(ゴルフ部の部室ってどこだ?)
はた、と気づいたが戻るのも面倒なので、そのまま様々な運動部が集まっている部室棟へ向かった。
テニス部は何だか特別待遇らしく、他の部と離れた場所に部室がある。
横一列に連なった部室棟。
ドアの横には、どこも古めかしい表札がかかっていて、「野球部」、「陸上部」、「サッカー部」、・・・
いろいろな部活が軒を連ねる中に、目当てのゴルフ部があった。
コンコン。
一呼吸してドアをノックをノックする。
・・・・・・・・・シーン。
もう1回ノックしてみたが、返事は無い。
「留守・・・ですかね。部活中?」
グルリとグラウンドを見回してみても、ゴルフ部らしき姿はない。
走り込みをする野球部員や、ボールを追いかけるサッカー部員の姿がチラホラ見えた。
(というか、ゴルフってグラウンドでやるようなもんじゃないよな・・・)
じゃあ、どこで?と問われたら、どこか広い所。としか答えようがない。
困った。
相変わらず掃除用具を握り締めたまま頭を捻っていると、後ろから声をかけられた。
「透さん?」
「柳生?」
後ろから聞き覚えのある声がかけられた。
パッと振り返れば、数人の新入生を引き連れた先輩に混じって、柳生の顔が見えた。
ラッキー!!人が来たよ!!
「やはり透さんでしたか。どうされたのです?」
手短に掃除用具のことを説明すると、そうでしたか。と納得したような柳生の声。
横で話を聞いていた先輩部員と思しき男子生徒も口を開く。
「ご苦労さん。マネージャーってのも大変だな」
「いえ、これも仕事のうちですし。長い間借りてたようで・・・ありがとうございました」
「いいっていいって。しかも男子テニス部だろ?何ていうか・・・そうだな、ご愁傷様ってやつかな?」
「はい?」
「あーあー。気にしないでいいよ。うん」
「?・・・はあ」
目の前の先輩は朗らかに笑っている。
何か不穏な単語が聞こえたが、一応笑顔で返しておいた。
(「ご愁傷様」ってどういうことだ・・・?)
聞くより先に、その先輩は、じゃ。という声と共に部室に入っていった。
「透さん、これから帰りですか?」
「うん。掃除も終わったし、特に予定もないしね」
「・・・部活なのに、掃除をやっていたのですか?」
不思議そうな顔をする柳生に部室の惨状を説明すると、柳生の眉が八の字になった。
(・・・この子綺麗好きそうだもんなあ・・・・・・)
「・・・大変だったんですね」
「でもマネージャーはもう一人いるし、部員の子も手伝ってくれたから。何とか大丈夫だったよ」
「それでも大変でしょう。テニス部には有望なマネージャーがいて羨ましい限りです」
「それは褒めすぎだよ柳生・・・」
柳生と並んで歩きながら、テニスコートまでの道を辿る。
どうやら柳生は見すがら送ってくれるようだ。紳士だなぁ・・・。
パコン・・・ッ パコン・・・ッ
途中まで来たとき、人気のない方向から、規則正しいストローク音が聞こえてきた。
思わず立ち止まって音のする方向を見やる。
(の、覗きに行きたい・・・)
誰が打ってるんだろう。レギュラーかな。平部員かな。
女子かな。男子かな。
そんなことが頭を支配しはじめ、好奇心が疼いてしょうがない。
「あのさ、柳生!」
「クス・・・ええ。行ってみましょうか?・・・先程から顔に出てましたよ」
クスクスと笑う柳生に、笑わないでよ~・・・と言うと、また笑い声で返事が返ってきた。
むぅー・・・!子供扱いして・・・。
邪魔にならないように、こっそり音のする方向へ脚を向ける。
校舎の陰から覗き込むと、そこには一人のテニス部員が壁打ちをしていた。
(あ)
サラサラと軽い銀の髪が、体の動きに合わせて跳ねる。
仁王だ・・・。
打ったボールは、的確に一定の場所へと返される。
フォア、バック、フォア。
一定のリズムで返されるそれは、さながらメトロノームのようだった。
「そんなところで覗いとらんと、堂々と来ればよかろ?」
「えっ!?」
急に仁王の方から声をかけられて思わず声をあげてしまった。
仁王の後ろには目があるんだろうか・・・。
そう声をかけられては、隠れていてもしょうがないので、姿を見せる。
後ろから柳生もついてきた。
「なんじゃ、笹本か。用でもあるんか?」
「ううん、特に用事があるわけじゃないんだ。ただストロークの音が聞こえたから・・・。ごめん、邪魔するつもりじゃなかったんだけど・・・」
「別にええ。俺もそろそろ切り上げるつもりだったしのう。・・・で、そっちのお前さんは・・・」
そう言って仁王の目が柳生をとらえる。
「こんにちは仁王くん。テニス部なんですね」
「おう。話すのは初めてじゃのう。柳生・・・で合っちょるかの?」
「ええ」
悠長に会話をする仁王と柳生に驚きを隠せない。
「え?何で2人とも知ってるの?・・・顔見知り?」
「何でって・・・。みんな同じクラスじゃろうが」
「ええええええええ!!??」
お、同じクラス・・・だと!?
思考が着いていかない。
同じクラスだと!?(重要なので2回言いました)
「同じクラス」という単語が頭の中でグルグルとこだました。
「なんじゃ?気づいとらんかったんか?」
「まだ授業が始まって1日目ですからね。無理もないでしょう」
仁王の問いにブンブンと首を縦に振ると、カカカと笑う仁王と、クスリと微笑む柳生が見えた。
盲点すぎて開いた口が塞がらない。
私今絶対バカみたいな顔してる。
「クラスメイトの顔くらい覚えておいてくれたら嬉しいんじゃが
「仁王・・・くん・・・は、席どこ?(危ねー!呼び捨てするところだった!)」
「窓側、後ろから2番目。当たり席じゃろ?」
そう言って、にぃと笑う仁王。
(そうか・・・窓側の後ろかぁ・・・そんなとこ全然見てなかったよ・・・)
「俺の席からは、お前さんらがよう見えるぞ。2人とも1番前の席じゃし。ある意味結構目立っとるぞ」
仲よさそうじゃの?と笑う仁王。
含みのある笑顔なのか、純粋な興味なのかよくわかんない。
さすが詐欺師・・・(のタマゴだと信じたい)
「そうだそうだ。返さなきゃだった」
「じゃあ、私が返しに行くよ。ゴルフ部なら知り合いもいるし」
「透1人で大丈夫?私も行こうか?」
「ううん。箒と塵取りだけだし、大丈夫だよ。行ってきます!」
「はーい、いってらっしゃい」
33、5話
箒と塵取りだけ持って元気よく歩き出す。
・・・歩き出したものの、
(ゴルフ部の部室ってどこだ?)
はた、と気づいたが戻るのも面倒なので、そのまま様々な運動部が集まっている部室棟へ向かった。
テニス部は何だか特別待遇らしく、他の部と離れた場所に部室がある。
横一列に連なった部室棟。
ドアの横には、どこも古めかしい表札がかかっていて、「野球部」、「陸上部」、「サッカー部」、・・・
いろいろな部活が軒を連ねる中に、目当てのゴルフ部があった。
コンコン。
一呼吸してドアをノックをノックする。
・・・・・・・・・シーン。
もう1回ノックしてみたが、返事は無い。
「留守・・・ですかね。部活中?」
グルリとグラウンドを見回してみても、ゴルフ部らしき姿はない。
走り込みをする野球部員や、ボールを追いかけるサッカー部員の姿がチラホラ見えた。
(というか、ゴルフってグラウンドでやるようなもんじゃないよな・・・)
じゃあ、どこで?と問われたら、どこか広い所。としか答えようがない。
困った。
相変わらず掃除用具を握り締めたまま頭を捻っていると、後ろから声をかけられた。
「透さん?」
「柳生?」
後ろから聞き覚えのある声がかけられた。
パッと振り返れば、数人の新入生を引き連れた先輩に混じって、柳生の顔が見えた。
ラッキー!!人が来たよ!!
「やはり透さんでしたか。どうされたのです?」
手短に掃除用具のことを説明すると、そうでしたか。と納得したような柳生の声。
横で話を聞いていた先輩部員と思しき男子生徒も口を開く。
「ご苦労さん。マネージャーってのも大変だな」
「いえ、これも仕事のうちですし。長い間借りてたようで・・・ありがとうございました」
「いいっていいって。しかも男子テニス部だろ?何ていうか・・・そうだな、ご愁傷様ってやつかな?」
「はい?」
「あーあー。気にしないでいいよ。うん」
「?・・・はあ」
目の前の先輩は朗らかに笑っている。
何か不穏な単語が聞こえたが、一応笑顔で返しておいた。
(「ご愁傷様」ってどういうことだ・・・?)
聞くより先に、その先輩は、じゃ。という声と共に部室に入っていった。
「透さん、これから帰りですか?」
「うん。掃除も終わったし、特に予定もないしね」
「・・・部活なのに、掃除をやっていたのですか?」
不思議そうな顔をする柳生に部室の惨状を説明すると、柳生の眉が八の字になった。
(・・・この子綺麗好きそうだもんなあ・・・・・・)
「・・・大変だったんですね」
「でもマネージャーはもう一人いるし、部員の子も手伝ってくれたから。何とか大丈夫だったよ」
「それでも大変でしょう。テニス部には有望なマネージャーがいて羨ましい限りです」
「それは褒めすぎだよ柳生・・・」
柳生と並んで歩きながら、テニスコートまでの道を辿る。
どうやら柳生は見すがら送ってくれるようだ。紳士だなぁ・・・。
パコン・・・ッ パコン・・・ッ
途中まで来たとき、人気のない方向から、規則正しいストローク音が聞こえてきた。
思わず立ち止まって音のする方向を見やる。
(の、覗きに行きたい・・・)
誰が打ってるんだろう。レギュラーかな。平部員かな。
女子かな。男子かな。
そんなことが頭を支配しはじめ、好奇心が疼いてしょうがない。
「あのさ、柳生!」
「クス・・・ええ。行ってみましょうか?・・・先程から顔に出てましたよ」
クスクスと笑う柳生に、笑わないでよ~・・・と言うと、また笑い声で返事が返ってきた。
むぅー・・・!子供扱いして・・・。
邪魔にならないように、こっそり音のする方向へ脚を向ける。
校舎の陰から覗き込むと、そこには一人のテニス部員が壁打ちをしていた。
(あ)
サラサラと軽い銀の髪が、体の動きに合わせて跳ねる。
仁王だ・・・。
打ったボールは、的確に一定の場所へと返される。
フォア、バック、フォア。
一定のリズムで返されるそれは、さながらメトロノームのようだった。
「そんなところで覗いとらんと、堂々と来ればよかろ?」
「えっ!?」
急に仁王の方から声をかけられて思わず声をあげてしまった。
仁王の後ろには目があるんだろうか・・・。
そう声をかけられては、隠れていてもしょうがないので、姿を見せる。
後ろから柳生もついてきた。
「なんじゃ、笹本か。用でもあるんか?」
「ううん、特に用事があるわけじゃないんだ。ただストロークの音が聞こえたから・・・。ごめん、邪魔するつもりじゃなかったんだけど・・・」
「別にええ。俺もそろそろ切り上げるつもりだったしのう。・・・で、そっちのお前さんは・・・」
そう言って仁王の目が柳生をとらえる。
「こんにちは仁王くん。テニス部なんですね」
「おう。話すのは初めてじゃのう。柳生・・・で合っちょるかの?」
「ええ」
悠長に会話をする仁王と柳生に驚きを隠せない。
「え?何で2人とも知ってるの?・・・顔見知り?」
「何でって・・・。みんな同じクラスじゃろうが」
「ええええええええ!!??」
お、同じクラス・・・だと!?
思考が着いていかない。
同じクラスだと!?(重要なので2回言いました)
「同じクラス」という単語が頭の中でグルグルとこだました。
「なんじゃ?気づいとらんかったんか?」
「まだ授業が始まって1日目ですからね。無理もないでしょう」
仁王の問いにブンブンと首を縦に振ると、カカカと笑う仁王と、クスリと微笑む柳生が見えた。
盲点すぎて開いた口が塞がらない。
私今絶対バカみたいな顔してる。
「クラスメイトの顔くらい覚えておいてくれたら嬉しいんじゃが
「仁王・・・くん・・・は、席どこ?(危ねー!呼び捨てするところだった!)」
「窓側、後ろから2番目。当たり席じゃろ?」
そう言って、にぃと笑う仁王。
(そうか・・・窓側の後ろかぁ・・・そんなとこ全然見てなかったよ・・・)
「俺の席からは、お前さんらがよう見えるぞ。2人とも1番前の席じゃし。ある意味結構目立っとるぞ」
仲よさそうじゃの?と笑う仁王。
含みのある笑顔なのか、純粋な興味なのかよくわかんない。
さすが詐欺師・・・(のタマゴだと信じたい)
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