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なんか、私までドキドキしてきた。
21.5話
今日は弦一郎と伊織が2年ぶりに試合する日。
何だか私まで緊張してしまう。
弦一郎は伊織に負けたあの日から、猛特訓してきたのを私は知ってる。
それに伴って、私も何故か猛特訓に付き合わされた2年間。
・・・・・・はっきり言って地獄でした。(チーン)
心なしかマッチョになった気がします・・・(肉体的にも精神的にも)
ぶっちゃけ、適当に負けてくれればよかったのに・・・。とも思ったこともあるけれど、それは弦一郎に失礼なので、ただただ弦一郎の特訓に付き合った。
そんな天然記念物モノのストイックな幼馴染は、今日の試合を凄く喜んでいる。(他人が見たらめちゃくちゃ悪い顔してるけど)
いわゆる、血沸き肉踊る。ってやつですね。ええ。(こんな小学生嫌だ・・・)
5歳のときから一緒にいるから、慣れたことは慣れたけど・・・。
今日は今までで1番顔が禍々しいです弦一郎さん・・・。
「なんか・・・テニスをやる。っていうか。『テニスで殺る』って感じ?」
「・・・・・・あー・・・そんな感じ・・・」
私たちはそう密かに会話を交わした。もしかするとこれが最後の会話になるんじゃないか。っていうくらい雰囲気が・・・・・・(涙)
なんだ。この合戦の前みたいな空気。ホラ貝とか鳴り出しそうなんだけど・・・。
「ふん・・・武者震いがするわ」
とか弦一郎言ってるし。
私、親友の命が大変心配です(本当に)
(うおおおおおおおい!!!ゆゆゆゆゆ、幸村がいるじゃんかよおおおおお!!!!)
と、伊織の全身から放たれているオーラに気づいた。
私は軽く手招きをして精市を呼び寄せる。
-- アイコンタクト --
(お前!!何で召還するんだよ!!)
(いや、だって無視できないじゃん)
伊織を軽く流して、神の子に手を振った。
にこやかにこちらに歩いてくる。
はあ・・・何回見ても可愛いと思ってしまう・・・。
だって、あの幸村だよ?あの幸村さんの小さい頃だよ??
原作でも可愛いと思ってたけど、いざ目の前にすると直視できない可愛さ。
伊織も同じこと思ってるみたいで、何だか顔がニヤけてる。
精市とはテニススクールに通ううちに、必然的に知り合った。(もちろん私は前世から知ってましたけど)
最初は一応「幸村くん」って呼んでたんだけど、なんか笑顔で名前呼びがいいな。とか言われたので「精市」になりました・・・(これは断れないでしょ・・・)
でも精市は噂に違わず本当に、強い。ひたすらに・・・強い。
たまに私も試合をやるけど、伊織とも弦一郎ともまた質の違う強さ。
神の子 なんて噂がたつのも頷けるわ・・・。
「初めまして、だね。幸村精市だよ」
「…初めまして。秋原伊織です」
「君の事はよく2人から聞いていたよ」
「…はぁ!?」
クルッと伊織はこっちを向く。伊織の目が恐い。
-- アイコンタクト --
(苛めですか!?)
(いや、まあ、話の流れで伊織の話に・・・ でも大丈夫!めちゃくちゃテニス上手いって言ってあるから!)
(ちょ!!!おまっ!!そういうことじゃねえよバカ!!!何ハードルあげてるんだよ!!!)
にこやかに精市が話を続ける。
「昨日弦一郎が電話をくれてね」
「!」
「面白い試合になるだろうから、お前もぜひ来いってね」
「な!」
「それにどうしても、一度会ってみたくてね」
「っな!!?」
「フフッ……楽しみだな」
この感じからすると、精市も伊織と対戦したいんだろうなあ・・・。ウズウズしてるみたいだよ・・・。
ご愁傷様伊織・・・。武運を祈る・・・。
半ば戦地に息子を送り出す母の心境で、私はそれを見守るしかなかった。
「7-5!! 勝者 秋原!!」
うわお・・・伊織ったら弦一郎に勝っちゃったよ・・・。
伊織強っ!!!!!前よりも更に上手くなってる!!
前に見たのは2年前。そのときから成長してるというのは当たり前なんだけど・・・。
まだまだだったね弦一郎・・・。そうか、これからまた特訓なのね。4時起きなのね。そうなのね・・・(涙)
それでも1ゲームもとれなかった2年前とは雲泥の差。
改めて弦一郎の執念に驚かされた。
男子はこれからが体格的にも成長する時期だし、伊織を越すのも時間の問題だろう。
弦一郎は吹っ切れたような、それでもやっぱり悔しがってるような顔をしていた。
髪の毛に汗がしたたっている。2人とも全力を尽くしたようだ。
「クスッ」
「!」(ビクッ)
っは!!!
伊織が物凄くビクッとしたのがわかった。
精市と伊織が見つめ合ってる。なんだか空気が重い・・・。
「…いいね」
「へぁ!?」
「秋原さん、俺とも試合してよ」
「え、遠慮したいかなー…とか」
「え?なに?」
「何でもないです!」
「そう、じゃあヤろうか」
「!!」
いやいやいやいや幸村さん!!それは酷です!!!
やっとの思いでラスボス倒したのに、実はまだ真のボスが待ってたみたいなことやめてください!!
せめて体力回復の呪文をかけさせてあげてください!!!!!(謎)
最初からちゃんと休憩を挟んでからのつもりだったんだろうけど、私は思わず必死に懇願した。
「やだなあ透。ちゃんと休憩挟むに決まってるじゃないか」
そこまで鬼じゃないよ。と、そう微笑む精市。
だって・・・だって・・・!!!
だって、 『今すぐ殺ろうか?』みたいな空気だったじゃん!!!(号泣)
それで伊織VS精市の結果は・・・
「6-3!! 勝者 幸村!!」
なんという強さ。試合中私はただただ息を呑むばかりだった。
伊織だって凄い。弦一郎と試合した後に神の子から3ゲームもとるって!!
私だってあれから強くなった。弦一郎にも精市にも、全く歯が立たないわけじゃない。
それでも最高でも1ゲームとれればかなりいい方なのに・・・。
凄いな・・・私の親友は・・・。いや、本当に。
私は立派にこのテニプリ世界に順応している伊織に、尊敬の念を抱かざるを得なかった。
その伊織をここまで強く育てた南二郎さんも・・・。
そういえば、リョーマ元気かなあ・・・。会って早々「アンタ誰?」とか言われそうだな私・・・。(苦笑)
それから、中学に入学するまでの1ヶ月間。
精市と弦一郎と私に、試合を申し込まれまくった伊織に対して、
朝4時から毎日弦一郎のトレーニングにガッツリ付き合わされている私がいた。
「お前もやれば、あやつのように強くなれるはずだ。負けっぱなしは性に合わん」
「うん、頑張れ弦一郎。私は普通に頑張るよ」
「何を言っている。いつもどおりお前も4時起床だ」
「ちょ、ちょっとおおおお!!なんで!!??」
「土日には、テニスもいれることにしたから忘れるなよ」
「私の意見無視ですか!!!」
「ははは、頑張れ透~♪」
月、テニス
火、テニス
水、テニス
木、テニス
金、テニス
土、剣道+テニス
日、剣道+テニス
とか、もう勘弁してくれえええええ!!!!!
さ、更にマッチョになるうううううう!!!!!!
【完】
こんなんでどうでしょ^^
透ちゃんも結構ハード生活(爆笑)