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番外 アメリカでのクリスマス、2
「久しぶりの生の伊織だー!!」
「久しぶりの透だー!!」
ハグッ!!
1年半ぶりの再会を、私達は抱き合って喜び合った。
12月25日、クリスマス当日の夜。
秋原家と笹本家の家族全員が、ここアメリカのパーティ会場にいた。
古い屋敷を改装したホテルを貸しきっての何とも豪華で大きなパーティ。
庭には本物のモミの木をつかった大きなクリスマスツリーが飾られている。
会場には数え切れないくらいのたくさんの人。
多くが家族連れであるらしく、会社関係のパーティであるにもかかわらず、会場は賑やかな雰囲気で包まれていた。
意味合いとしては、自社の将来を担う、子供達のお披露目会。といった雰囲気が強いみたい。
立食形式のパーティだからか、気軽にあちらこちらで談笑する大人同士や子供達が見られた。
「24日にアメリカに着いてたらリョマの誕生日を透と一緒に祝えたのにね」
「だよねー。お父さんの予定が合えばよかったのに」
私達が着いたのは25日の昼すぎ。
お父さんの仕事の関係で、かなりギリギリのフライトになってしまった。
そのせいでアメリカの方の家には立ち寄ることなく、笹本家はこの会場のホテルに直接向かうことになったので、リョーマに会うことはできなかった。
「あ、そういえば弦一郎から伝言を預かったよ」
「え、なになに?『クリスマスおめでとう』とか?うわ、似合わない」
勝手に笑っている伊織の側で、私はバッグの中から、弦一郎が書いた手紙をとりだし読み上げた。
「・・・『拝啓、秋原伊織様。元気にしているか。俺はお前に負けたあの日から、日夜お前を倒すために励んでいる。日本に来た暁には、また試合をしたいものだ。俺はあのときのようにはいかんぞ。首を洗って待っていろ。次こそお前に勝つ。 真田弦一郎』・・・・・・だって」
「・・・・・・・・・・・果たし状?」
「・・・そうとも言うね。あ、この手紙あげるね」
「いらねーよ!!!」
聖なる日に果たし状を送りつけられた親友が何だか哀れだった。
(・・・あ、伊織のテンションが下がってる・・・!!なんとか話題を変えないと・・・!!!)
「そ、それよりさ・・・!!伊織のそのドレス可愛いよね!凄い似合ってる!!」
「・・・そう?ちょっと大人っぽいかな、って思ってたんだけど・・・。透のドレスも凄くいいね!!」
雅人さんが「俺の娘は天使のように可愛い!!」って言ってたのもあながち間違いじゃない気がする・・・。
私が男だったら間違いなく嫁にしてるね(おい)
伊織は青地にバラのコサージュがついたAラインのドレス。
頭には白いレースのリボンがついていて、いつもの活発な伊織からは想像できないくらい乙女な仕様になっていた。
対する私は胸元にリボンのついた、淡いピンク色のアンピールタイプのドレス。
頭には小さなコサージュをつけてもらった。
「伊織のその可愛いリボン、雅人さんの趣味?」
「うん。凄く、『女の子』って感じだよね・・・。ドレスもそうだけど、うちのお父さんってレースとかそういう女の子っぽいのが好きみたい」
たしかに、伊織のドレスの裾には繊細なレースが惜しげもなく使われている。
でも華美すぎない、上品な可愛らしさ。伊織が動くたびにフワフワと揺れる。
「透のそのピンクのドレスも、やっぱり晃さんチョイス?」
「わかる?私的にはちょっと可愛いすぎるかな・・・って思ってるんだけど・・・」
「そんなことないと思うよ。透によく似合ってるし」
「ありがと。 私も結構気に入ってるんだけど・・・でも年齢考えたらさ・・・(涙)」
「しっ!!本当の年齢を考えるな!!考えたら負けだぞ!!(泣)」
私達は本当の年齢(前世から数えて3X歳)に目を瞑ることにした。
そうだよね!!伊織の言うとおりだよね!!これは考えたら負けだよ!!
そんなことを伊織と話している間に、人の波をかき分けてお父さん達がやってきた。
「あら、透達ったらこんなところにいたの?」
「伊織ちゃんも一緒か。相変わらず仲良しさんだな」
「透ちゃん久しぶりだねえ。いつも伊織がお世話になってます」
「本当、久しぶりねー!ちょっと見ない間にこんなに綺麗になっちゃって!!」
先ほどまで取引先の相手の社長さんなんかと流暢に英語で会話していたお父さん達。
手には子供用のノンアルコールカクテルが2つ握られている。
私達がそれらを受けとると、雅人さんとうちのお父さんが目を細めながらしげしげと私達を眺めてきた。
そういえば雅人さんとお父さんは娘の可愛さ勝負をしていたんだっけ?
「・・・・・・いやあ、うちの透が1番可愛いと思ってたけど・・・」
「ああ、うちの伊織が世界一可愛いと思ってたが・・・」
「「やっぱりどっちも可愛いな!!」」(どーん)
(このオッサン達、なんか目が異様にキラキラしてる・・・・・・・・・!!!!!!)
(なんか目が爛々としてる・・・・・・!!!!!)
((ぶっちゃけこわあああああああああ!!!!!))
オッサン2人の勢いに、私と伊織は思わずシンクロした。
お母さん2人が遠巻きに呆れたように見ているのが見える。
「うちの透もそうだけど、伊織ちゃんも嫁にやれないくらい可愛いなあ・・・」
「だよな!!でも透ちゃんも伊織に負けず劣らず天使みたいだなー」
「ま、俺の娘だからな。そういえばこのドレス、雅人のデザインだろ?伊織ちゃん、よく似合ってるよ」
「あ、ありがとうございます・・・」
「だろー!!連日徹夜で考えたんだ!!仕事も手につかなかったよ」
「だろうなあ・・・」
「透ちゃんのドレスはオートクチュールか?」
「そうなんだよ!知り合いのデザイナーに急遽無理言って作ってもらったんだ」
「だと思った。凄くよく似合ってるよ透ちゃん」
「ありがとうございますオジさん・・・」
-- アイコンタクト --
(雅人さん・・・結局デザインしきったんだ・・・あの短期間で・・・)
(そうなんだよ・・・。凄い執念だよな・・・。仕事しろよ本当・・・)
(ははは・・・。100%雅人さんのデザイン?)
(いや、90%)
(90%?)
(本当はフリフリのレースがもっと死ぬほどいっぱいついてたんだけど、お母さんが勝手に直した)
(・・・・・・・・・そうか)
っていうか、死ぬほどいっぱいのレースに囲まれた伊織って・・・・・・想像したら笑える・・・!!!
ちょっと見てみたい気もした私がいた。
母達曰く、このときの様子はさながらペットの品評会みたいだったという。
ペ、ペットってお母さん・・・・・・。
【続】
笹本家に一通の封筒が届けられた。
番外 アメリカでのクリスマス、1
「透、なんだか嬉しそうだな。どうした?」
「ふふー。わかった?」
「見ればわかる。そんなにニヤニヤしてればな」
「ニヤニヤって失礼ね」
私は弦一郎の自室で鞄からパーティの招待状を取り出す。
赤い封蝋のついた、オシャレな白い封筒だ。中にクリスマスカードが入っている。
「実はパーティにいくことになったんだー。クリスマスパーティだよ!!」
「ほう」
日本の小さいパーティの招待状ではない。アメリカでの本格的な立食パーティだ。
企業の偉い人なんかが集まるパーティで、本当はもちろんお父さんに送られてきたものだ。
白地の紙に金の印字。そのクリスマスカードがあまりに素敵なカードだったので、娘特権でねだって貰って来た。
「なんでもね。このパーティはアメリカでやるんだって!聞いてみたら伊織のお父さんも同じパーティに招待されててね」
「なるほど。伊織にその会場で会えるとわかったから、そんなにお前は喜んでいるのだな」
「そうなの!そのパーティは家族単位で行ってもいいんだって!だから今から楽しみなんだ」
「そうか、ならば伊織にもよろしく伝えてくれ。俺はお前を倒すために日夜励んでいるとな」
「う、うん。ちゃんと伝えておく・・・」
さすが弦一郎・・・。クリスマスなのに、なんてマッチョなあいさつ・・・。伊織に会ったら一字一句伝えてあげよう。
アメリカへ発つのは明日。
伊織のお父さんと私のお父さんは何故か自分の娘の可愛さ勝負をしてるみたいで、
今日になるまでの2週間の間に何回もドレスを試着させられた。
伊織のところも一緒らしい。オモチャか私達は。
雅人さん曰く(伊織のお父さんね)
「いつもの伊織ももちろん可愛いけど、このドレスを着た伊織は天使のように可愛い!!」
・・・のだそうだ。
っていうか天使のように可愛いって・・・。
うちの親も親バカだとは思ってるけど、伊織のところも重症だよなあ・・・。
ちなみに、うちのお父さんは、「可愛いすぎて嫁にやれない!!」って言って泣きました(どーん)
お母さんの呆れた顔と、店のお姉さんが笑顔ながらにどうしよう・・・って顔してたのが忘れられないよ・・・。
このときの私は、まさかこのパーティで予想外のことが起こるなんて微塵も予想してなかったんだ。
【続】
メモ
ブルーのAラインのドレス+ショール+頭にリボン
ピンクのアンピールタイプ+ショール+頭にサージュ
なんか、私までドキドキしてきた。
21.5話
今日は弦一郎と伊織が2年ぶりに試合する日。
何だか私まで緊張してしまう。
弦一郎は伊織に負けたあの日から、猛特訓してきたのを私は知ってる。
それに伴って、私も何故か猛特訓に付き合わされた2年間。
・・・・・・はっきり言って地獄でした。(チーン)
心なしかマッチョになった気がします・・・(肉体的にも精神的にも)
ぶっちゃけ、適当に負けてくれればよかったのに・・・。とも思ったこともあるけれど、それは弦一郎に失礼なので、ただただ弦一郎の特訓に付き合った。
そんな天然記念物モノのストイックな幼馴染は、今日の試合を凄く喜んでいる。(他人が見たらめちゃくちゃ悪い顔してるけど)
いわゆる、血沸き肉踊る。ってやつですね。ええ。(こんな小学生嫌だ・・・)
5歳のときから一緒にいるから、慣れたことは慣れたけど・・・。
今日は今までで1番顔が禍々しいです弦一郎さん・・・。
「なんか・・・テニスをやる。っていうか。『テニスで殺る』って感じ?」
「・・・・・・あー・・・そんな感じ・・・」
私たちはそう密かに会話を交わした。もしかするとこれが最後の会話になるんじゃないか。っていうくらい雰囲気が・・・・・・(涙)
なんだ。この合戦の前みたいな空気。ホラ貝とか鳴り出しそうなんだけど・・・。
「ふん・・・武者震いがするわ」
とか弦一郎言ってるし。
私、親友の命が大変心配です(本当に)
(うおおおおおおおい!!!ゆゆゆゆゆ、幸村がいるじゃんかよおおおおお!!!!)
と、伊織の全身から放たれているオーラに気づいた。
私は軽く手招きをして精市を呼び寄せる。
-- アイコンタクト --
(お前!!何で召還するんだよ!!)
(いや、だって無視できないじゃん)
伊織を軽く流して、神の子に手を振った。
にこやかにこちらに歩いてくる。
はあ・・・何回見ても可愛いと思ってしまう・・・。
だって、あの幸村だよ?あの幸村さんの小さい頃だよ??
原作でも可愛いと思ってたけど、いざ目の前にすると直視できない可愛さ。
伊織も同じこと思ってるみたいで、何だか顔がニヤけてる。
精市とはテニススクールに通ううちに、必然的に知り合った。(もちろん私は前世から知ってましたけど)
最初は一応「幸村くん」って呼んでたんだけど、なんか笑顔で名前呼びがいいな。とか言われたので「精市」になりました・・・(これは断れないでしょ・・・)
でも精市は噂に違わず本当に、強い。ひたすらに・・・強い。
たまに私も試合をやるけど、伊織とも弦一郎ともまた質の違う強さ。
神の子 なんて噂がたつのも頷けるわ・・・。
「初めまして、だね。幸村精市だよ」
「…初めまして。秋原伊織です」
「君の事はよく2人から聞いていたよ」
「…はぁ!?」
クルッと伊織はこっちを向く。伊織の目が恐い。
-- アイコンタクト --
(苛めですか!?)
(いや、まあ、話の流れで伊織の話に・・・ でも大丈夫!めちゃくちゃテニス上手いって言ってあるから!)
(ちょ!!!おまっ!!そういうことじゃねえよバカ!!!何ハードルあげてるんだよ!!!)
にこやかに精市が話を続ける。
「昨日弦一郎が電話をくれてね」
「!」
「面白い試合になるだろうから、お前もぜひ来いってね」
「な!」
「それにどうしても、一度会ってみたくてね」
「っな!!?」
「フフッ……楽しみだな」
この感じからすると、精市も伊織と対戦したいんだろうなあ・・・。ウズウズしてるみたいだよ・・・。
ご愁傷様伊織・・・。武運を祈る・・・。
半ば戦地に息子を送り出す母の心境で、私はそれを見守るしかなかった。
「7-5!! 勝者 秋原!!」
うわお・・・伊織ったら弦一郎に勝っちゃったよ・・・。
伊織強っ!!!!!前よりも更に上手くなってる!!
前に見たのは2年前。そのときから成長してるというのは当たり前なんだけど・・・。
まだまだだったね弦一郎・・・。そうか、これからまた特訓なのね。4時起きなのね。そうなのね・・・(涙)
それでも1ゲームもとれなかった2年前とは雲泥の差。
改めて弦一郎の執念に驚かされた。
男子はこれからが体格的にも成長する時期だし、伊織を越すのも時間の問題だろう。
弦一郎は吹っ切れたような、それでもやっぱり悔しがってるような顔をしていた。
髪の毛に汗がしたたっている。2人とも全力を尽くしたようだ。
「クスッ」
「!」(ビクッ)
っは!!!
伊織が物凄くビクッとしたのがわかった。
精市と伊織が見つめ合ってる。なんだか空気が重い・・・。
「…いいね」
「へぁ!?」
「秋原さん、俺とも試合してよ」
「え、遠慮したいかなー…とか」
「え?なに?」
「何でもないです!」
「そう、じゃあヤろうか」
「!!」
いやいやいやいや幸村さん!!それは酷です!!!
やっとの思いでラスボス倒したのに、実はまだ真のボスが待ってたみたいなことやめてください!!
せめて体力回復の呪文をかけさせてあげてください!!!!!(謎)
最初からちゃんと休憩を挟んでからのつもりだったんだろうけど、私は思わず必死に懇願した。
「やだなあ透。ちゃんと休憩挟むに決まってるじゃないか」
そこまで鬼じゃないよ。と、そう微笑む精市。
だって・・・だって・・・!!!
だって、 『今すぐ殺ろうか?』みたいな空気だったじゃん!!!(号泣)
それで伊織VS精市の結果は・・・
「6-3!! 勝者 幸村!!」
なんという強さ。試合中私はただただ息を呑むばかりだった。
伊織だって凄い。弦一郎と試合した後に神の子から3ゲームもとるって!!
私だってあれから強くなった。弦一郎にも精市にも、全く歯が立たないわけじゃない。
それでも最高でも1ゲームとれればかなりいい方なのに・・・。
凄いな・・・私の親友は・・・。いや、本当に。
私は立派にこのテニプリ世界に順応している伊織に、尊敬の念を抱かざるを得なかった。
その伊織をここまで強く育てた南二郎さんも・・・。
そういえば、リョーマ元気かなあ・・・。会って早々「アンタ誰?」とか言われそうだな私・・・。(苦笑)
それから、中学に入学するまでの1ヶ月間。
精市と弦一郎と私に、試合を申し込まれまくった伊織に対して、
朝4時から毎日弦一郎のトレーニングにガッツリ付き合わされている私がいた。
「お前もやれば、あやつのように強くなれるはずだ。負けっぱなしは性に合わん」
「うん、頑張れ弦一郎。私は普通に頑張るよ」
「何を言っている。いつもどおりお前も4時起床だ」
「ちょ、ちょっとおおおお!!なんで!!??」
「土日には、テニスもいれることにしたから忘れるなよ」
「私の意見無視ですか!!!」
「ははは、頑張れ透~♪」
月、テニス
火、テニス
水、テニス
木、テニス
金、テニス
土、剣道+テニス
日、剣道+テニス
とか、もう勘弁してくれえええええ!!!!!
さ、更にマッチョになるうううううう!!!!!!
【完】
こんなんでどうでしょ^^
透ちゃんも結構ハード生活(爆笑)
二人は仲良し
一緒に死んでしまう
ある世界で生まれ変わる
誕生日は同じ日(11月30日:命日でもある)
お隣さん同士
幼馴染
前世の記憶あり
伊織は12歳まではアメリカ在住。後、日本の神奈川県在住
透は5歳の冬に両親の都合で日本の神奈川県へ。真田とお隣さん
両親は共働きで金持ち
日本では透の家に透の両親たちと一緒に住む
立海生
マネージャー
伊織は精神的に、透は肉体的に強い
見た目可愛い系だが、本人達は普通だと思っている
●友人
デフォ名:笹本 透(ささもと とおる)
年齢:19歳(生前)
職業:大学生
性別:女
身長:160センチ
容姿:肩下くらいのこげ茶髪・メガネ(コンタクト)
性格:小動物っぽい・明るい・予想外のことを言うことがある
趣味:小物造り・絵描き
苦手:派手な系統の人・ホラー系全般(見ない・聞かない・興味持たない!)
備考:照れると片言になる・帰省本能がない・よく道に迷う・道を覚えられない
相手:柳蓮二
キャラの呼び方:
越前・真田・幸村・丸井・桑原・切原→名前呼び
柳・柳生・仁王→苗字呼び
他校→(主に)苗字+君呼び
母:真弓(まゆみ)
父:晃(あきら)
職業:大手のIT企業の社長と秘書。晃が1から育てた会社。
備考:アメリカ暮らし・家族大好き・雅人とは小学校からの親友・家が隣同士
執事の名前:寿(ことぶき)