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「あれ?オバさん、透は?」
先ほどケーキをとりにいく。と言ったきり、全く透の姿を見かけないので、私は透のお母さんに聞いてみた。
「あら伊織ちゃん、透ならさっきお手洗いに行く。っていってたわよ?」
「・・・ええと、それって何分前くらい?」
「んー・・・そうねえ・・・20分前くらいかしら?お手洗い混んでるのかしらねえ・・・」
なんて、のほほんとした真弓さんの言葉に、そうですね。と返事をしたものの・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・なんか嫌な予感が・・・。
番外 アメリカでのクリスマス、3
「あっれー?ここも違う・・・・・・おっかしいなあ・・・」
私はシンと静まり返った廊下を一人で歩いていた。
お手洗いにいくためにパーティ会場を抜け出たのはいいものの・・・・・・
進めども進めども、聞こえるのは自分の足音だけ。
高い天井に反響した足音が、余計に自分一人だということを自覚させる。
完全なる迷子だ。
(ちくしょー!!どれだけデカい屋敷なんだよ!!!!ここがホテル!?嘘つけ!!誰もいないじゃん!!!っていうかここどこなんだよ!!!)
私は一人でブツブツ文句を言いながら、自分の軽率な行動に軽く後悔していた。
ああ・・・あの時あんなことをしなければ・・・・・・今頃伊織と一緒にケーキを食べてたはずなのに・・・
1時間程前。
お手洗いにて用を済ませた私は、そのまま真っ直ぐ会場に戻ってケーキを食べるはずだった。
何十種類もある色とりどりの美味しそうなスイーツ。あれが私を待ってるはずだった。
「・・・・・・あ。なんか綺麗なのがある」
会場の方向とは反対方向に綺麗な彫刻が見えたので、もっとよく見ようと近寄ってみた。
それがそもそもの間違いの始まりだった。
近づいてみれば、大理石の像。
水瓶を抱えた女神がかすかに微笑んでいる。
「おおお~綺麗・・・。さすが古い屋敷・・・年代モノって感じー。あ、あっちの方にも何か絵がある。行ってみよ!!」
「うわ~・・・これも綺麗!!構図がいい!!・・・・・・あ、あれも何だろ!!」
「うわ、高そうな壷・・・いくらくらいするんだろ・・・。こっちの道はどうかな?」
見るものすべてが物珍しかった。
さながら美術館のようなコレクションの数々。
私はもともと芸術が好きだったことも手伝って、だんだんとテンションもあがっていた。
「あ、階段がある」
私はここで、1回行くか行かないか考えた。2秒くらい。
もっとよく考えればよかった。
[ 選択肢 ]
A、『気になるけど・・・、そろそろ戻った方がいいよね・・・。みんな待ってるし』
B、『うわ!凄い気になる!!大丈夫だよね!いつでも戻れるよ!!』
⇒ 選択 : B
「・・・・・・行ってみよ!」
このときほど好奇心が憎かったことはない。私の安易な考えも。
(だって気になったら確認しないと気がすまないんだもん!!!!)
・・・・・・とまあこんな感じで、好奇心の赴くままどんどん進んでいったら・・・・・・
案の定、うん、まあ、迷子になってました。はい(チーン)
「うーん・・・こっちの道であってると思ったんだけどなー・・・見たことあるような・・・ないような・・・??」
どこまでも続く長い廊下。
そもそも、ここが何階なのかもよく分からない。
(っていうか・・・まず会場って何階だったっけ?2階だったっけ?3階?あれ?)
会場まではボーイが案内するままに進んでいたし、両親と話しながら歩いていたので会場が何階にあるのか、全く覚えていなかった。
(これでよく「いつでも戻れる」と思ったな・・・。私まだ体は若いはずなのに・・・。脳だけ老いてるんだろうか・・・)
見た目は子供、頭脳は大人。の某名探偵を頭に思い浮かべたが、
まるっきり脳みそがボケ老人だったら解決できるものも解決できない。
「・・・・・・・戻ろう。」
戻ろう。そうしよう。
闇雲に歩いてもしょうがないと思った私は、覚えている限り歩いて来た道を引き返し始めた。
今までこっちが近道なのだと、自分に言い聞かせて慣れない道を進んできたが、もうこれ以上は無理だと思った。
体力的には全く問題なかったが、如何せん廊下の脇にあるコレクションが美しい彫刻から、だんだん西洋の騎士の甲冑が目だってきているのが気になっていた。
今にも動き出しそうだ。手に持っている剣や槍がギラリと鈍く光っている。
(なんで私はこっちの道を選んだんだよ!!自分がわかんない!!!鎧は何だか動き出しそうだし!!)
正直、恐い。
明かりが乏しい廊下で、自分の影が揺らめくたびにドキドキする。
私は自分ではそう思ってないけど、伊織曰く帰省本能というものがないらしい。
そんな私が引き返したところで、現状がそう変わるわけではないけれど、鎧よりはましだ。
走り出したかったが、いかんせんヒールを履いているので走れない。
私はできる限りの早さで廊下を引き返し始めた。
【続】
まだまだ続くよ!!
まだ出てこない(笑)
先ほどケーキをとりにいく。と言ったきり、全く透の姿を見かけないので、私は透のお母さんに聞いてみた。
「あら伊織ちゃん、透ならさっきお手洗いに行く。っていってたわよ?」
「・・・ええと、それって何分前くらい?」
「んー・・・そうねえ・・・20分前くらいかしら?お手洗い混んでるのかしらねえ・・・」
なんて、のほほんとした真弓さんの言葉に、そうですね。と返事をしたものの・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・なんか嫌な予感が・・・。
番外 アメリカでのクリスマス、3
「あっれー?ここも違う・・・・・・おっかしいなあ・・・」
私はシンと静まり返った廊下を一人で歩いていた。
お手洗いにいくためにパーティ会場を抜け出たのはいいものの・・・・・・
進めども進めども、聞こえるのは自分の足音だけ。
高い天井に反響した足音が、余計に自分一人だということを自覚させる。
完全なる迷子だ。
(ちくしょー!!どれだけデカい屋敷なんだよ!!!!ここがホテル!?嘘つけ!!誰もいないじゃん!!!っていうかここどこなんだよ!!!)
私は一人でブツブツ文句を言いながら、自分の軽率な行動に軽く後悔していた。
ああ・・・あの時あんなことをしなければ・・・・・・今頃伊織と一緒にケーキを食べてたはずなのに・・・
1時間程前。
お手洗いにて用を済ませた私は、そのまま真っ直ぐ会場に戻ってケーキを食べるはずだった。
何十種類もある色とりどりの美味しそうなスイーツ。あれが私を待ってるはずだった。
「・・・・・・あ。なんか綺麗なのがある」
会場の方向とは反対方向に綺麗な彫刻が見えたので、もっとよく見ようと近寄ってみた。
それがそもそもの間違いの始まりだった。
近づいてみれば、大理石の像。
水瓶を抱えた女神がかすかに微笑んでいる。
「おおお~綺麗・・・。さすが古い屋敷・・・年代モノって感じー。あ、あっちの方にも何か絵がある。行ってみよ!!」
「うわ~・・・これも綺麗!!構図がいい!!・・・・・・あ、あれも何だろ!!」
「うわ、高そうな壷・・・いくらくらいするんだろ・・・。こっちの道はどうかな?」
見るものすべてが物珍しかった。
さながら美術館のようなコレクションの数々。
私はもともと芸術が好きだったことも手伝って、だんだんとテンションもあがっていた。
「あ、階段がある」
私はここで、1回行くか行かないか考えた。2秒くらい。
もっとよく考えればよかった。
[ 選択肢 ]
A、『気になるけど・・・、そろそろ戻った方がいいよね・・・。みんな待ってるし』
B、『うわ!凄い気になる!!大丈夫だよね!いつでも戻れるよ!!』
⇒ 選択 : B
「・・・・・・行ってみよ!」
このときほど好奇心が憎かったことはない。私の安易な考えも。
(だって気になったら確認しないと気がすまないんだもん!!!!)
・・・・・・とまあこんな感じで、好奇心の赴くままどんどん進んでいったら・・・・・・
案の定、うん、まあ、迷子になってました。はい(チーン)
「うーん・・・こっちの道であってると思ったんだけどなー・・・見たことあるような・・・ないような・・・??」
どこまでも続く長い廊下。
そもそも、ここが何階なのかもよく分からない。
(っていうか・・・まず会場って何階だったっけ?2階だったっけ?3階?あれ?)
会場まではボーイが案内するままに進んでいたし、両親と話しながら歩いていたので会場が何階にあるのか、全く覚えていなかった。
(これでよく「いつでも戻れる」と思ったな・・・。私まだ体は若いはずなのに・・・。脳だけ老いてるんだろうか・・・)
見た目は子供、頭脳は大人。の某名探偵を頭に思い浮かべたが、
まるっきり脳みそがボケ老人だったら解決できるものも解決できない。
「・・・・・・・戻ろう。」
戻ろう。そうしよう。
闇雲に歩いてもしょうがないと思った私は、覚えている限り歩いて来た道を引き返し始めた。
今までこっちが近道なのだと、自分に言い聞かせて慣れない道を進んできたが、もうこれ以上は無理だと思った。
体力的には全く問題なかったが、如何せん廊下の脇にあるコレクションが美しい彫刻から、だんだん西洋の騎士の甲冑が目だってきているのが気になっていた。
今にも動き出しそうだ。手に持っている剣や槍がギラリと鈍く光っている。
(なんで私はこっちの道を選んだんだよ!!自分がわかんない!!!鎧は何だか動き出しそうだし!!)
正直、恐い。
明かりが乏しい廊下で、自分の影が揺らめくたびにドキドキする。
私は自分ではそう思ってないけど、伊織曰く帰省本能というものがないらしい。
そんな私が引き返したところで、現状がそう変わるわけではないけれど、鎧よりはましだ。
走り出したかったが、いかんせんヒールを履いているので走れない。
私はできる限りの早さで廊下を引き返し始めた。
【続】
まだまだ続くよ!!
まだ出てこない(笑)
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「招待状をお見せ願います。・・・・・・・・・・はい、笹本様ですね。ようこそいらっしゃいました。メリークリスマス!!」
番外 アメリカでのクリスマス、2
「久しぶりの生の伊織だー!!」
「久しぶりの透だー!!」
ハグッ!!
1年半ぶりの再会を、私達は抱き合って喜び合った。
12月25日、クリスマス当日の夜。
秋原家と笹本家の家族全員が、ここアメリカのパーティ会場にいた。
古い屋敷を改装したホテルを貸しきっての何とも豪華で大きなパーティ。
庭には本物のモミの木をつかった大きなクリスマスツリーが飾られている。
会場には数え切れないくらいのたくさんの人。
多くが家族連れであるらしく、会社関係のパーティであるにもかかわらず、会場は賑やかな雰囲気で包まれていた。
意味合いとしては、自社の将来を担う、子供達のお披露目会。といった雰囲気が強いみたい。
立食形式のパーティだからか、気軽にあちらこちらで談笑する大人同士や子供達が見られた。
「24日にアメリカに着いてたらリョマの誕生日を透と一緒に祝えたのにね」
「だよねー。お父さんの予定が合えばよかったのに」
私達が着いたのは25日の昼すぎ。
お父さんの仕事の関係で、かなりギリギリのフライトになってしまった。
そのせいでアメリカの方の家には立ち寄ることなく、笹本家はこの会場のホテルに直接向かうことになったので、リョーマに会うことはできなかった。
「あ、そういえば弦一郎から伝言を預かったよ」
「え、なになに?『クリスマスおめでとう』とか?うわ、似合わない」
勝手に笑っている伊織の側で、私はバッグの中から、弦一郎が書いた手紙をとりだし読み上げた。
「・・・『拝啓、秋原伊織様。元気にしているか。俺はお前に負けたあの日から、日夜お前を倒すために励んでいる。日本に来た暁には、また試合をしたいものだ。俺はあのときのようにはいかんぞ。首を洗って待っていろ。次こそお前に勝つ。 真田弦一郎』・・・・・・だって」
「・・・・・・・・・・・果たし状?」
「・・・そうとも言うね。あ、この手紙あげるね」
「いらねーよ!!!」
聖なる日に果たし状を送りつけられた親友が何だか哀れだった。
(・・・あ、伊織のテンションが下がってる・・・!!なんとか話題を変えないと・・・!!!)
「そ、それよりさ・・・!!伊織のそのドレス可愛いよね!凄い似合ってる!!」
「・・・そう?ちょっと大人っぽいかな、って思ってたんだけど・・・。透のドレスも凄くいいね!!」
雅人さんが「俺の娘は天使のように可愛い!!」って言ってたのもあながち間違いじゃない気がする・・・。
私が男だったら間違いなく嫁にしてるね(おい)
伊織は青地にバラのコサージュがついたAラインのドレス。
頭には白いレースのリボンがついていて、いつもの活発な伊織からは想像できないくらい乙女な仕様になっていた。
対する私は胸元にリボンのついた、淡いピンク色のアンピールタイプのドレス。
頭には小さなコサージュをつけてもらった。
「伊織のその可愛いリボン、雅人さんの趣味?」
「うん。凄く、『女の子』って感じだよね・・・。ドレスもそうだけど、うちのお父さんってレースとかそういう女の子っぽいのが好きみたい」
たしかに、伊織のドレスの裾には繊細なレースが惜しげもなく使われている。
でも華美すぎない、上品な可愛らしさ。伊織が動くたびにフワフワと揺れる。
「透のそのピンクのドレスも、やっぱり晃さんチョイス?」
「わかる?私的にはちょっと可愛いすぎるかな・・・って思ってるんだけど・・・」
「そんなことないと思うよ。透によく似合ってるし」
「ありがと。 私も結構気に入ってるんだけど・・・でも年齢考えたらさ・・・(涙)」
「しっ!!本当の年齢を考えるな!!考えたら負けだぞ!!(泣)」
私達は本当の年齢(前世から数えて3X歳)に目を瞑ることにした。
そうだよね!!伊織の言うとおりだよね!!これは考えたら負けだよ!!
そんなことを伊織と話している間に、人の波をかき分けてお父さん達がやってきた。
「あら、透達ったらこんなところにいたの?」
「伊織ちゃんも一緒か。相変わらず仲良しさんだな」
「透ちゃん久しぶりだねえ。いつも伊織がお世話になってます」
「本当、久しぶりねー!ちょっと見ない間にこんなに綺麗になっちゃって!!」
先ほどまで取引先の相手の社長さんなんかと流暢に英語で会話していたお父さん達。
手には子供用のノンアルコールカクテルが2つ握られている。
私達がそれらを受けとると、雅人さんとうちのお父さんが目を細めながらしげしげと私達を眺めてきた。
そういえば雅人さんとお父さんは娘の可愛さ勝負をしていたんだっけ?
「・・・・・・いやあ、うちの透が1番可愛いと思ってたけど・・・」
「ああ、うちの伊織が世界一可愛いと思ってたが・・・」
「「やっぱりどっちも可愛いな!!」」(どーん)
(このオッサン達、なんか目が異様にキラキラしてる・・・・・・・・・!!!!!!)
(なんか目が爛々としてる・・・・・・!!!!!)
((ぶっちゃけこわあああああああああ!!!!!))
オッサン2人の勢いに、私と伊織は思わずシンクロした。
お母さん2人が遠巻きに呆れたように見ているのが見える。
「うちの透もそうだけど、伊織ちゃんも嫁にやれないくらい可愛いなあ・・・」
「だよな!!でも透ちゃんも伊織に負けず劣らず天使みたいだなー」
「ま、俺の娘だからな。そういえばこのドレス、雅人のデザインだろ?伊織ちゃん、よく似合ってるよ」
「あ、ありがとうございます・・・」
「だろー!!連日徹夜で考えたんだ!!仕事も手につかなかったよ」
「だろうなあ・・・」
「透ちゃんのドレスはオートクチュールか?」
「そうなんだよ!知り合いのデザイナーに急遽無理言って作ってもらったんだ」
「だと思った。凄くよく似合ってるよ透ちゃん」
「ありがとうございますオジさん・・・」
-- アイコンタクト --
(雅人さん・・・結局デザインしきったんだ・・・あの短期間で・・・)
(そうなんだよ・・・。凄い執念だよな・・・。仕事しろよ本当・・・)
(ははは・・・。100%雅人さんのデザイン?)
(いや、90%)
(90%?)
(本当はフリフリのレースがもっと死ぬほどいっぱいついてたんだけど、お母さんが勝手に直した)
(・・・・・・・・・そうか)
っていうか、死ぬほどいっぱいのレースに囲まれた伊織って・・・・・・想像したら笑える・・・!!!
ちょっと見てみたい気もした私がいた。
母達曰く、このときの様子はさながらペットの品評会みたいだったという。
ペ、ペットってお母さん・・・・・・。
【続】
番外 アメリカでのクリスマス、2
「久しぶりの生の伊織だー!!」
「久しぶりの透だー!!」
ハグッ!!
1年半ぶりの再会を、私達は抱き合って喜び合った。
12月25日、クリスマス当日の夜。
秋原家と笹本家の家族全員が、ここアメリカのパーティ会場にいた。
古い屋敷を改装したホテルを貸しきっての何とも豪華で大きなパーティ。
庭には本物のモミの木をつかった大きなクリスマスツリーが飾られている。
会場には数え切れないくらいのたくさんの人。
多くが家族連れであるらしく、会社関係のパーティであるにもかかわらず、会場は賑やかな雰囲気で包まれていた。
意味合いとしては、自社の将来を担う、子供達のお披露目会。といった雰囲気が強いみたい。
立食形式のパーティだからか、気軽にあちらこちらで談笑する大人同士や子供達が見られた。
「24日にアメリカに着いてたらリョマの誕生日を透と一緒に祝えたのにね」
「だよねー。お父さんの予定が合えばよかったのに」
私達が着いたのは25日の昼すぎ。
お父さんの仕事の関係で、かなりギリギリのフライトになってしまった。
そのせいでアメリカの方の家には立ち寄ることなく、笹本家はこの会場のホテルに直接向かうことになったので、リョーマに会うことはできなかった。
「あ、そういえば弦一郎から伝言を預かったよ」
「え、なになに?『クリスマスおめでとう』とか?うわ、似合わない」
勝手に笑っている伊織の側で、私はバッグの中から、弦一郎が書いた手紙をとりだし読み上げた。
「・・・『拝啓、秋原伊織様。元気にしているか。俺はお前に負けたあの日から、日夜お前を倒すために励んでいる。日本に来た暁には、また試合をしたいものだ。俺はあのときのようにはいかんぞ。首を洗って待っていろ。次こそお前に勝つ。 真田弦一郎』・・・・・・だって」
「・・・・・・・・・・・果たし状?」
「・・・そうとも言うね。あ、この手紙あげるね」
「いらねーよ!!!」
聖なる日に果たし状を送りつけられた親友が何だか哀れだった。
(・・・あ、伊織のテンションが下がってる・・・!!なんとか話題を変えないと・・・!!!)
「そ、それよりさ・・・!!伊織のそのドレス可愛いよね!凄い似合ってる!!」
「・・・そう?ちょっと大人っぽいかな、って思ってたんだけど・・・。透のドレスも凄くいいね!!」
雅人さんが「俺の娘は天使のように可愛い!!」って言ってたのもあながち間違いじゃない気がする・・・。
私が男だったら間違いなく嫁にしてるね(おい)
伊織は青地にバラのコサージュがついたAラインのドレス。
頭には白いレースのリボンがついていて、いつもの活発な伊織からは想像できないくらい乙女な仕様になっていた。
対する私は胸元にリボンのついた、淡いピンク色のアンピールタイプのドレス。
頭には小さなコサージュをつけてもらった。
「伊織のその可愛いリボン、雅人さんの趣味?」
「うん。凄く、『女の子』って感じだよね・・・。ドレスもそうだけど、うちのお父さんってレースとかそういう女の子っぽいのが好きみたい」
たしかに、伊織のドレスの裾には繊細なレースが惜しげもなく使われている。
でも華美すぎない、上品な可愛らしさ。伊織が動くたびにフワフワと揺れる。
「透のそのピンクのドレスも、やっぱり晃さんチョイス?」
「わかる?私的にはちょっと可愛いすぎるかな・・・って思ってるんだけど・・・」
「そんなことないと思うよ。透によく似合ってるし」
「ありがと。 私も結構気に入ってるんだけど・・・でも年齢考えたらさ・・・(涙)」
「しっ!!本当の年齢を考えるな!!考えたら負けだぞ!!(泣)」
私達は本当の年齢(前世から数えて3X歳)に目を瞑ることにした。
そうだよね!!伊織の言うとおりだよね!!これは考えたら負けだよ!!
そんなことを伊織と話している間に、人の波をかき分けてお父さん達がやってきた。
「あら、透達ったらこんなところにいたの?」
「伊織ちゃんも一緒か。相変わらず仲良しさんだな」
「透ちゃん久しぶりだねえ。いつも伊織がお世話になってます」
「本当、久しぶりねー!ちょっと見ない間にこんなに綺麗になっちゃって!!」
先ほどまで取引先の相手の社長さんなんかと流暢に英語で会話していたお父さん達。
手には子供用のノンアルコールカクテルが2つ握られている。
私達がそれらを受けとると、雅人さんとうちのお父さんが目を細めながらしげしげと私達を眺めてきた。
そういえば雅人さんとお父さんは娘の可愛さ勝負をしていたんだっけ?
「・・・・・・いやあ、うちの透が1番可愛いと思ってたけど・・・」
「ああ、うちの伊織が世界一可愛いと思ってたが・・・」
「「やっぱりどっちも可愛いな!!」」(どーん)
(このオッサン達、なんか目が異様にキラキラしてる・・・・・・・・・!!!!!!)
(なんか目が爛々としてる・・・・・・!!!!!)
((ぶっちゃけこわあああああああああ!!!!!))
オッサン2人の勢いに、私と伊織は思わずシンクロした。
お母さん2人が遠巻きに呆れたように見ているのが見える。
「うちの透もそうだけど、伊織ちゃんも嫁にやれないくらい可愛いなあ・・・」
「だよな!!でも透ちゃんも伊織に負けず劣らず天使みたいだなー」
「ま、俺の娘だからな。そういえばこのドレス、雅人のデザインだろ?伊織ちゃん、よく似合ってるよ」
「あ、ありがとうございます・・・」
「だろー!!連日徹夜で考えたんだ!!仕事も手につかなかったよ」
「だろうなあ・・・」
「透ちゃんのドレスはオートクチュールか?」
「そうなんだよ!知り合いのデザイナーに急遽無理言って作ってもらったんだ」
「だと思った。凄くよく似合ってるよ透ちゃん」
「ありがとうございますオジさん・・・」
-- アイコンタクト --
(雅人さん・・・結局デザインしきったんだ・・・あの短期間で・・・)
(そうなんだよ・・・。凄い執念だよな・・・。仕事しろよ本当・・・)
(ははは・・・。100%雅人さんのデザイン?)
(いや、90%)
(90%?)
(本当はフリフリのレースがもっと死ぬほどいっぱいついてたんだけど、お母さんが勝手に直した)
(・・・・・・・・・そうか)
っていうか、死ぬほどいっぱいのレースに囲まれた伊織って・・・・・・想像したら笑える・・・!!!
ちょっと見てみたい気もした私がいた。
母達曰く、このときの様子はさながらペットの品評会みたいだったという。
ペ、ペットってお母さん・・・・・・。
【続】
小5の冬。
笹本家に一通の封筒が届けられた。
番外 アメリカでのクリスマス、1
「透、なんだか嬉しそうだな。どうした?」
「ふふー。わかった?」
「見ればわかる。そんなにニヤニヤしてればな」
「ニヤニヤって失礼ね」
私は弦一郎の自室で鞄からパーティの招待状を取り出す。
赤い封蝋のついた、オシャレな白い封筒だ。中にクリスマスカードが入っている。
「実はパーティにいくことになったんだー。クリスマスパーティだよ!!」
「ほう」
日本の小さいパーティの招待状ではない。アメリカでの本格的な立食パーティだ。
企業の偉い人なんかが集まるパーティで、本当はもちろんお父さんに送られてきたものだ。
白地の紙に金の印字。そのクリスマスカードがあまりに素敵なカードだったので、娘特権でねだって貰って来た。
「なんでもね。このパーティはアメリカでやるんだって!聞いてみたら伊織のお父さんも同じパーティに招待されててね」
「なるほど。伊織にその会場で会えるとわかったから、そんなにお前は喜んでいるのだな」
「そうなの!そのパーティは家族単位で行ってもいいんだって!だから今から楽しみなんだ」
「そうか、ならば伊織にもよろしく伝えてくれ。俺はお前を倒すために日夜励んでいるとな」
「う、うん。ちゃんと伝えておく・・・」
さすが弦一郎・・・。クリスマスなのに、なんてマッチョなあいさつ・・・。伊織に会ったら一字一句伝えてあげよう。
アメリカへ発つのは明日。
伊織のお父さんと私のお父さんは何故か自分の娘の可愛さ勝負をしてるみたいで、
今日になるまでの2週間の間に何回もドレスを試着させられた。
伊織のところも一緒らしい。オモチャか私達は。
雅人さん曰く(伊織のお父さんね)
「いつもの伊織ももちろん可愛いけど、このドレスを着た伊織は天使のように可愛い!!」
・・・のだそうだ。
っていうか天使のように可愛いって・・・。
うちの親も親バカだとは思ってるけど、伊織のところも重症だよなあ・・・。
ちなみに、うちのお父さんは、「可愛いすぎて嫁にやれない!!」って言って泣きました(どーん)
お母さんの呆れた顔と、店のお姉さんが笑顔ながらにどうしよう・・・って顔してたのが忘れられないよ・・・。
このときの私は、まさかこのパーティで予想外のことが起こるなんて微塵も予想してなかったんだ。
【続】
メモ
ブルーのAラインのドレス+ショール+頭にリボン
ピンクのアンピールタイプ+ショール+頭にサージュ
笹本家に一通の封筒が届けられた。
番外 アメリカでのクリスマス、1
「透、なんだか嬉しそうだな。どうした?」
「ふふー。わかった?」
「見ればわかる。そんなにニヤニヤしてればな」
「ニヤニヤって失礼ね」
私は弦一郎の自室で鞄からパーティの招待状を取り出す。
赤い封蝋のついた、オシャレな白い封筒だ。中にクリスマスカードが入っている。
「実はパーティにいくことになったんだー。クリスマスパーティだよ!!」
「ほう」
日本の小さいパーティの招待状ではない。アメリカでの本格的な立食パーティだ。
企業の偉い人なんかが集まるパーティで、本当はもちろんお父さんに送られてきたものだ。
白地の紙に金の印字。そのクリスマスカードがあまりに素敵なカードだったので、娘特権でねだって貰って来た。
「なんでもね。このパーティはアメリカでやるんだって!聞いてみたら伊織のお父さんも同じパーティに招待されててね」
「なるほど。伊織にその会場で会えるとわかったから、そんなにお前は喜んでいるのだな」
「そうなの!そのパーティは家族単位で行ってもいいんだって!だから今から楽しみなんだ」
「そうか、ならば伊織にもよろしく伝えてくれ。俺はお前を倒すために日夜励んでいるとな」
「う、うん。ちゃんと伝えておく・・・」
さすが弦一郎・・・。クリスマスなのに、なんてマッチョなあいさつ・・・。伊織に会ったら一字一句伝えてあげよう。
アメリカへ発つのは明日。
伊織のお父さんと私のお父さんは何故か自分の娘の可愛さ勝負をしてるみたいで、
今日になるまでの2週間の間に何回もドレスを試着させられた。
伊織のところも一緒らしい。オモチャか私達は。
雅人さん曰く(伊織のお父さんね)
「いつもの伊織ももちろん可愛いけど、このドレスを着た伊織は天使のように可愛い!!」
・・・のだそうだ。
っていうか天使のように可愛いって・・・。
うちの親も親バカだとは思ってるけど、伊織のところも重症だよなあ・・・。
ちなみに、うちのお父さんは、「可愛いすぎて嫁にやれない!!」って言って泣きました(どーん)
お母さんの呆れた顔と、店のお姉さんが笑顔ながらにどうしよう・・・って顔してたのが忘れられないよ・・・。
このときの私は、まさかこのパーティで予想外のことが起こるなんて微塵も予想してなかったんだ。
【続】
メモ
ブルーのAラインのドレス+ショール+頭にリボン
ピンクのアンピールタイプ+ショール+頭にサージュ
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プロフィール
HN:
陽
性別:
非公開
職業:
妄想職人