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誰でもいいから迎えに来て欲しかった。
でも、迎えに来たのは予想外の人物すぎて、驚きで不安なんて一瞬にして吹き飛んだんだ。
番外 アメリカでのクリスマス6
跡部景吾。私が知らないはずがない。
伊織だってもちろん知っている。
未来の・・・ 氷帝学園の―――――― キング ――・・・
「おい。何回も言わせるな。顔が悪ぃ奴は耳も悪ぃのか?」
「んな!!」
「・・・てめえ痛い目みてえようだな」
(と、登場早々になんて傍若無人な物言い・・・ )
でも、不安はどこかに吹き飛んでいた。
知っている人物がいる。というより、彼のその堂々とした態度が、私に落ち着きを取り戻させていた。
まだ掴まれている腕は痛いけど、痛みも和らいだような錯覚さえ覚えた。
「ふん・・・。このガキ、俺が誰か知らねえな・・・」
自信満々な態度でリーダー格の男が続ける。
「お前も『曽根山グループ』っていう名前くらい聞いたことあるだろ?その跡取りが俺だ」
(このガキ、曽根山っていうのか・・・。覚えてろよ。ちくしょー!!!)
取り巻きの連中もニタニタしている。そんなに凄い財閥なんだろうか・・・。
・・・でも、
(「曽根山」とか全く知らねえええええええええ!!!!誰だよ!!!!!)
私は思わず口を突いて言いそうになった。
「あーん?曽根山?ああ、あの趣味の悪いホテルばかり建てるグループか」
「んだと!?」
ハッ。と鼻で笑うような態度の跡部様。
心なしか見下した態度をとってらっしゃいます。
「曽根山グループっていやあ、先月うちの傘下になったグループじゃねえか。お前の親父、俺にペコペコ頭下げてたぜ?」
「な!!??」
「うちが援助してやってんだ・・・まあ、当然だよな?」
「ま、まさか・・・・お前、いや貴方は・・・」
曽根山とその取り巻き達の顔が見る見るうちに驚愕の表情に変わる。
「まさか、跡部財閥の・・・・・・」
「跡部、景吾・・・・・・・・」
「マジかよ・・・『跡部』もこのパーティに来てたのか・・・」
見てるこっちが可哀想になるくらいの青ざめ方だ。
・・・まあ、「ガキ」とか言ってた奴が、親会社の社長の息子って知ったら・・・そりゃああなるよな・・・
曽根山と取り巻きが声にもならない声をあげる。
「わかったら、失せろ。二度とその面見せるんじゃねえ」
跡部がそう言った途端、
「「「す、すいませんでした!!!!!」」」
といって蜘蛛の子を散らすように、駆けていった。
後には私と跡部だけが取り残された。すぐに廊下がシンと静まる。
(権力を振りかざす奴って、本当に権力に弱いんだな・・・・・・)
私はしばしポカーンとなったが、すぐに床にくずれるように座り込んだ。
安心したら、我慢していた涙が溢れるように出てきた。
「おい、大丈夫かお前」
跡部が目の前にハンカチを出してくれた。
なんていい子なんだ・・・。お姉さん感激だ・・・。可愛いし・・・。
半ばオバさんのような心境。その紳士な態度に感動してまた涙がこぼれる。
「うん・・・ありがとう・・・」
あ。
思わずタメ口を利いてしまったが、別段跡部は気にする様子もない。
「立てるか?」
「うん・・・ってあれ・・・・・・た、立てませン」
言われて、足に力を入れようとするものの、腰が抜けて立てない。
「・・・しょうがねえな」
跡部は私の右手を掴んで引っ張って立たせた。
そしてそのまま歩き出す。
「うぁ、えっと・・・そのどこへ?」
「あーん?お前会場に戻りてえんだろ?」
跡部がズンズン歩きながら答える。まだ右手は繋がったまま。
「俺様が直々に連れてってやる」
それからは早かった。
階段を上へ、下へ、複雑な廊下を迷いなく進んでいく。
「あの、跡部・・・くん」
「景吾でいい」
「(景吾でいいって・・・!!)・・・・・・景吾くんは・・・」
「景吾」
(こ、これ精市のときとまったく同じ展開なんですけど・・・)
「・・・・・・・・・景、吾・・・は」
「なんだよ」
「何であんなところにいたの?」
「あーん?会場にいてもつまらなかったからな。ちょっと散歩してた」
(つまらなかったから、散歩!!!!!)
跡部景吾の年相応な理由に思わず顔がニヤけそうになった。
「そうしたら、お前が泣いてたから助けてやったんだろうが」
「・・・うぇ、はい。その節はお世話になりました・・・」
思わず顔が赤くなる。私は弦一郎をはじめ、年下にお世話になりっぱなしだ。
「ところでお前、名前は?」
「あ、そうだった・・・えと、笹本透です」
「笹本透だな。覚えた」
(ひいいいいい!!!!名前覚えられた!!!!)
俺の手を煩わせた女。としてブラックリストに載せられるんだろうか・・・・・・
そんな嫌な考えばかりが脳内をグルグルする。
見たことがある美術品が並ぶ廊下に出た。所要時間、5分。
(なんでみんなこんな風に道を覚えられるんだろう・・・・・・)
私はただただ跡部様に連れられるままひたすら廊下を歩いた。
【続】
でも、迎えに来たのは予想外の人物すぎて、驚きで不安なんて一瞬にして吹き飛んだんだ。
番外 アメリカでのクリスマス6
跡部景吾。私が知らないはずがない。
伊織だってもちろん知っている。
未来の・・・ 氷帝学園の―――――― キング ――・・・
「おい。何回も言わせるな。顔が悪ぃ奴は耳も悪ぃのか?」
「んな!!」
「・・・てめえ痛い目みてえようだな」
(と、登場早々になんて傍若無人な物言い・・・ )
でも、不安はどこかに吹き飛んでいた。
知っている人物がいる。というより、彼のその堂々とした態度が、私に落ち着きを取り戻させていた。
まだ掴まれている腕は痛いけど、痛みも和らいだような錯覚さえ覚えた。
「ふん・・・。このガキ、俺が誰か知らねえな・・・」
自信満々な態度でリーダー格の男が続ける。
「お前も『曽根山グループ』っていう名前くらい聞いたことあるだろ?その跡取りが俺だ」
(このガキ、曽根山っていうのか・・・。覚えてろよ。ちくしょー!!!)
取り巻きの連中もニタニタしている。そんなに凄い財閥なんだろうか・・・。
・・・でも、
(「曽根山」とか全く知らねえええええええええ!!!!誰だよ!!!!!)
私は思わず口を突いて言いそうになった。
「あーん?曽根山?ああ、あの趣味の悪いホテルばかり建てるグループか」
「んだと!?」
ハッ。と鼻で笑うような態度の跡部様。
心なしか見下した態度をとってらっしゃいます。
「曽根山グループっていやあ、先月うちの傘下になったグループじゃねえか。お前の親父、俺にペコペコ頭下げてたぜ?」
「な!!??」
「うちが援助してやってんだ・・・まあ、当然だよな?」
「ま、まさか・・・・お前、いや貴方は・・・」
曽根山とその取り巻き達の顔が見る見るうちに驚愕の表情に変わる。
「まさか、跡部財閥の・・・・・・」
「跡部、景吾・・・・・・・・」
「マジかよ・・・『跡部』もこのパーティに来てたのか・・・」
見てるこっちが可哀想になるくらいの青ざめ方だ。
・・・まあ、「ガキ」とか言ってた奴が、親会社の社長の息子って知ったら・・・そりゃああなるよな・・・
曽根山と取り巻きが声にもならない声をあげる。
「わかったら、失せろ。二度とその面見せるんじゃねえ」
跡部がそう言った途端、
「「「す、すいませんでした!!!!!」」」
といって蜘蛛の子を散らすように、駆けていった。
後には私と跡部だけが取り残された。すぐに廊下がシンと静まる。
(権力を振りかざす奴って、本当に権力に弱いんだな・・・・・・)
私はしばしポカーンとなったが、すぐに床にくずれるように座り込んだ。
安心したら、我慢していた涙が溢れるように出てきた。
「おい、大丈夫かお前」
跡部が目の前にハンカチを出してくれた。
なんていい子なんだ・・・。お姉さん感激だ・・・。可愛いし・・・。
半ばオバさんのような心境。その紳士な態度に感動してまた涙がこぼれる。
「うん・・・ありがとう・・・」
あ。
思わずタメ口を利いてしまったが、別段跡部は気にする様子もない。
「立てるか?」
「うん・・・ってあれ・・・・・・た、立てませン」
言われて、足に力を入れようとするものの、腰が抜けて立てない。
「・・・しょうがねえな」
跡部は私の右手を掴んで引っ張って立たせた。
そしてそのまま歩き出す。
「うぁ、えっと・・・そのどこへ?」
「あーん?お前会場に戻りてえんだろ?」
跡部がズンズン歩きながら答える。まだ右手は繋がったまま。
「俺様が直々に連れてってやる」
それからは早かった。
階段を上へ、下へ、複雑な廊下を迷いなく進んでいく。
「あの、跡部・・・くん」
「景吾でいい」
「(景吾でいいって・・・!!)・・・・・・景吾くんは・・・」
「景吾」
(こ、これ精市のときとまったく同じ展開なんですけど・・・)
「・・・・・・・・・景、吾・・・は」
「なんだよ」
「何であんなところにいたの?」
「あーん?会場にいてもつまらなかったからな。ちょっと散歩してた」
(つまらなかったから、散歩!!!!!)
跡部景吾の年相応な理由に思わず顔がニヤけそうになった。
「そうしたら、お前が泣いてたから助けてやったんだろうが」
「・・・うぇ、はい。その節はお世話になりました・・・」
思わず顔が赤くなる。私は弦一郎をはじめ、年下にお世話になりっぱなしだ。
「ところでお前、名前は?」
「あ、そうだった・・・えと、笹本透です」
「笹本透だな。覚えた」
(ひいいいいい!!!!名前覚えられた!!!!)
俺の手を煩わせた女。としてブラックリストに載せられるんだろうか・・・・・・
そんな嫌な考えばかりが脳内をグルグルする。
見たことがある美術品が並ぶ廊下に出た。所要時間、5分。
(なんでみんなこんな風に道を覚えられるんだろう・・・・・・)
私はただただ跡部様に連れられるままひたすら廊下を歩いた。
【続】
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