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20090124設置
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「あ、そういえば。掃除道具って、ゴルフ部に返しに行かなきゃじゃなかったっけ?」
「そうだそうだ。返さなきゃだった」
「じゃあ、私が返しに行くよ。ゴルフ部なら知り合いもいるし」
「透1人で大丈夫?私も行こうか?」
「ううん。箒と塵取りだけだし、大丈夫だよ。行ってきます!」
「はーい、いってらっしゃい」




33、5話





箒と塵取りだけ持って元気よく歩き出す。
・・・歩き出したものの、


(ゴルフ部の部室ってどこだ?)


はた、と気づいたが戻るのも面倒なので、そのまま様々な運動部が集まっている部室棟へ向かった。
テニス部は何だか特別待遇らしく、他の部と離れた場所に部室がある。

横一列に連なった部室棟。
ドアの横には、どこも古めかしい表札がかかっていて、「野球部」、「陸上部」、「サッカー部」、・・・
いろいろな部活が軒を連ねる中に、目当てのゴルフ部があった。


コンコン。

一呼吸してドアをノックをノックする。

・・・・・・・・・シーン。


もう1回ノックしてみたが、返事は無い。


「留守・・・ですかね。部活中?」


グルリとグラウンドを見回してみても、ゴルフ部らしき姿はない。
走り込みをする野球部員や、ボールを追いかけるサッカー部員の姿がチラホラ見えた。

(というか、ゴルフってグラウンドでやるようなもんじゃないよな・・・)


じゃあ、どこで?と問われたら、どこか広い所。としか答えようがない。
困った。

相変わらず掃除用具を握り締めたまま頭を捻っていると、後ろから声をかけられた。


「透さん?」
「柳生?」

後ろから聞き覚えのある声がかけられた。
パッと振り返れば、数人の新入生を引き連れた先輩に混じって、柳生の顔が見えた。

ラッキー!!人が来たよ!!



「やはり透さんでしたか。どうされたのです?」

手短に掃除用具のことを説明すると、そうでしたか。と納得したような柳生の声。
横で話を聞いていた先輩部員と思しき男子生徒も口を開く。


「ご苦労さん。マネージャーってのも大変だな」
「いえ、これも仕事のうちですし。長い間借りてたようで・・・ありがとうございました」
「いいっていいって。しかも男子テニス部だろ?何ていうか・・・そうだな、ご愁傷様ってやつかな?」
「はい?」
「あーあー。気にしないでいいよ。うん」
「?・・・はあ」


目の前の先輩は朗らかに笑っている。
何か不穏な単語が聞こえたが、一応笑顔で返しておいた。

(「ご愁傷様」ってどういうことだ・・・?)


聞くより先に、その先輩は、じゃ。という声と共に部室に入っていった。



「透さん、これから帰りですか?」
「うん。掃除も終わったし、特に予定もないしね」
「・・・部活なのに、掃除をやっていたのですか?」


不思議そうな顔をする柳生に部室の惨状を説明すると、柳生の眉が八の字になった。

(・・・この子綺麗好きそうだもんなあ・・・・・・)


「・・・大変だったんですね」
「でもマネージャーはもう一人いるし、部員の子も手伝ってくれたから。何とか大丈夫だったよ」
「それでも大変でしょう。テニス部には有望なマネージャーがいて羨ましい限りです」
「それは褒めすぎだよ柳生・・・」


柳生と並んで歩きながら、テニスコートまでの道を辿る。
どうやら柳生は見すがら送ってくれるようだ。紳士だなぁ・・・。


パコン・・・ッ  パコン・・・ッ



途中まで来たとき、人気のない方向から、規則正しいストローク音が聞こえてきた。
思わず立ち止まって音のする方向を見やる。

(の、覗きに行きたい・・・)


誰が打ってるんだろう。レギュラーかな。平部員かな。
女子かな。男子かな。
そんなことが頭を支配しはじめ、好奇心が疼いてしょうがない。


「あのさ、柳生!」
「クス・・・ええ。行ってみましょうか?・・・先程から顔に出てましたよ」


クスクスと笑う柳生に、笑わないでよ~・・・と言うと、また笑い声で返事が返ってきた。
むぅー・・・!子供扱いして・・・。


邪魔にならないように、こっそり音のする方向へ脚を向ける。
校舎の陰から覗き込むと、そこには一人のテニス部員が壁打ちをしていた。


(あ)


サラサラと軽い銀の髪が、体の動きに合わせて跳ねる。

仁王だ・・・。


打ったボールは、的確に一定の場所へと返される。
フォア、バック、フォア。
一定のリズムで返されるそれは、さながらメトロノームのようだった。



「そんなところで覗いとらんと、堂々と来ればよかろ?」
「えっ!?」


急に仁王の方から声をかけられて思わず声をあげてしまった。
仁王の後ろには目があるんだろうか・・・。
そう声をかけられては、隠れていてもしょうがないので、姿を見せる。
後ろから柳生もついてきた。


「なんじゃ、笹本か。用でもあるんか?」
「ううん、特に用事があるわけじゃないんだ。ただストロークの音が聞こえたから・・・。ごめん、邪魔するつもりじゃなかったんだけど・・・」
「別にええ。俺もそろそろ切り上げるつもりだったしのう。・・・で、そっちのお前さんは・・・」

そう言って仁王の目が柳生をとらえる。


「こんにちは仁王くん。テニス部なんですね」
「おう。話すのは初めてじゃのう。柳生・・・で合っちょるかの?」
「ええ」


悠長に会話をする仁王と柳生に驚きを隠せない。


「え?何で2人とも知ってるの?・・・顔見知り?」
「何でって・・・。みんな同じクラスじゃろうが」
「ええええええええ!!??」


お、同じクラス・・・だと!?


思考が着いていかない。
同じクラスだと!?(重要なので2回言いました)
「同じクラス」という単語が頭の中でグルグルとこだました。


「なんじゃ?気づいとらんかったんか?」
「まだ授業が始まって1日目ですからね。無理もないでしょう」

仁王の問いにブンブンと首を縦に振ると、カカカと笑う仁王と、クスリと微笑む柳生が見えた。
盲点すぎて開いた口が塞がらない。
私今絶対バカみたいな顔してる。


「クラスメイトの顔くらい覚えておいてくれたら嬉しいんじゃが
「仁王・・・くん・・・は、席どこ?(危ねー!呼び捨てするところだった!)」
「窓側、後ろから2番目。当たり席じゃろ?」

そう言って、にぃと笑う仁王。

(そうか・・・窓側の後ろかぁ・・・そんなとこ全然見てなかったよ・・・)


「俺の席からは、お前さんらがよう見えるぞ。2人とも1番前の席じゃし。ある意味結構目立っとるぞ」

仲よさそうじゃの?と笑う仁王。
含みのある笑顔なのか、純粋な興味なのかよくわかんない。
さすが詐欺師・・・(のタマゴだと信じたい)


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