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20090124設置
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あれから慌しく一週間が過ぎた。
伊織は元より、残りの3人の女の子ともそれなりに話すようになって。
話してみたら結構いい子達だった。

(見た目だけで判断するのってよくないよね。うん)

見た目がギャルっぽいとはいえ、なかなか手際もよいし、やっぱり2人より5人の方がいい。
それに、中学最初の女の子の友達と言えなくもない。
ちょっとミーハーなところもあるけど、3人とも、まあ、まだ若いししょうがないよね。




35話




「ね。笹本さんは誰がタイプ?」
「へ?」


ウォータージャグを洗っているときに、急に桃月さんから話が振られた。
桃月さんは、あの3人の中ではリーダーって感じで、中学生なのに髪の毛もきちんとブローされてるわ、ほんのり化粧はしてるわ、爪だってピッカピカで外見にとても気を使ってるのがわかる。
水道の蛇口を閉めながら声の方を向けば、コンクリートの上に座ってクルクルと毛先をいじってる桃月さんと、同じく休憩中の島崎さんが見えた。


「えーと・・・何の話?」
「決まってんじゃん!恋バナ!テニスの中では笹本さんは誰が好き?」
「い、いやぁ・・・誰が好きと言われても・・・・・・」
「えー?じゃあ誰が気になる?私はぁ~・・・やっぱり湯沢部長かなぁ~」
「夏見面食い~。私的には、幸村くんとか格好いいと思うんだけどー」
「だよね!っていうかー、幸村くんもいいけど、仁王くんも超格好いいよね!」
「わかるー!!・・・私、今日仁王くんにちょっと声かけてみようかなー」
「あ、京子ずるい!じゃあ私は部長にタオル持っていくときにお話してみよっと」


・・・・・・・・・・・・

(・・・会話についていけない・・・・・・)



若さ特有のエネルギーというか、テンションというか・・・。
私にもこんな若々しいフレッシュな時代があったはずなのに・・・・・・。


「・・・・・・これがジェネレーション・ギャップってやつ?」
「は?何が?」
「いや、何も・・・。うん、タオル・・・頑張ってね」
「うん、まあ頑張るけど・・・。つか笹本さんって何気に面白いよね」


いや、オバさんはアンタらの方が絶対面白いと思うよ。




洗ったボトルとジャグに新しくドリンクを作って部屋に戻ると、タオルを取り込んでいた伊織と山川さんがいた。
日光によく当てておいたタオルはふっかふかのもふもふだ。レギュラー用のボトルとタオルをカゴに入れる。



「じゃあ今日も、ジャンケンして担当決めよ!」

桃月さんがジャンケンを促す。
誰が誰にタオルやドリンクを持っていくか。というジャンケン。
若いなあ・・・。


「秋原さんと笹本さんはジャンケンしない?」
「うん。私達はこっちのジャグとか持っていくから」
「レギュラーはよろしく」


一喜一憂しながらジャンケンに興じる3人

誰が誰に渡してもいいじゃん・・・・・・とか思っちゃうんだけど。まあ、でもこういうのにときめいたりするのが乙女ってやつなのかな・・・。
オバさんはもうそういった意味じゃ枯れてるわ・・・。


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「すまん。遅くなった」
「悪いな」




34.5話




後からきた弦一郎と柳にも柳生の紹介が終わり、それからしばらくお昼タイムになった。
テニス部ばかりのせいか、話題はテニスの話ばっかりで、柳生は退屈ではないかと思われたが、柳生は柳生でテニスも齧っているらしく、皆と会話に花を咲かせている。
仁王に至っては「ゴルフ部辞めてテニス部来んか?」なんて誘っている。

ふと、会話の途中で仁王が話を変えた。


「そういえば、聞きたかったんじゃが。笹本と真田はどういう関係なんじゃ?付き合っとるんか?」
「ぶっふ!!」
「ちょっ!弦一郎大丈夫?」


お茶を飲もうとした矢先、咳き込んだ弦一郎の背中を透がさする。
その光景を、さも慣れたように見る伊織と精市。
しげしげと眺める柳生と柳。面白そうに笑う仁王。


「弦一郎と透は幼馴染なんだよ仁王くん」
「なんじゃ。てっきり付き合っとるのかと」

仁王の質問に伊織が回答する。
まあ、確かに知らない人が見たら、透と弦一郎はカップルなんじゃないかと思えるくらいには仲がいい。


「フフ。まあ確かにお似合いだとは俺も思うけどね」
「精市、お前までからかうな・・・」
「だって、あまりにも仲がいいんだもの。見てるこっちが妬けちゃうよね伊織?」
「うん。だってこの前も弦一郎、透にご飯粒とっ「うああああああ!!!!!」

「「「ご飯粒?」」」


弦一郎が真っ赤になって伊織の口を押さえる。
それ以上言うなと言わんばかりの剣幕で頭から湯気を立ち上らせている。
その光景に大声で笑う精市と、耐えかねるように笑い出す透。
弦一郎の慌てた様に一様に皆大笑いする。
それにますます顔を赤くする弦一郎がいた。



「」
ちょっと書き直しっつーか、藤の書いたやつそのまま、短めに添削してみた!!
どうだろ・・・




朝練も終わり、皆と歩いて教室まで向かう。
いろいろ話してたら、柳は弦一郎と、仁王は透と同じクラスだと分かったので一緒に行こうってことになったんだ。

それにしても、みんな小さくて可愛いなあ・・・。(と言ってもみんなすでに私より身長は高いのだけど)
後2年でああなってしまうのかと思うと少し残念な気持ちになる。
ああ!もったいない!
可愛いのに!!もったいない!!(ここ重要なんだからね!)




第34話




「そういえば、仁王君と柳君はお昼ってどうしてるの?」
「俺は昨日は教室で弁当を食べたが」
「俺も似たようなもんじゃき」


私の一言に、それがどうかしたのか?という目線で(柳は瞼閉じてるけども!)問いかけてくる2人。
この2人に見られると(特に仁王には)ちょっと怖い。
仁王の三白眼って、結構恐いんだーなんて思ってしまった。(見降ろされてるしね)
柳に至っては、きっちりと瞑っている目を見ると、これでよく物が見えるものだと感心してしまう。
あっちにいるときは、薄目でも開けているんだろうと思っていたんだけど、そうじゃないみたいだし。
柳の瞼の構造はいったいどうなってるんだ?


「あのさ、柳くん達もお弁当なら、私達と一緒に食べない?」


私はただ単にお弁当なのか学食なのか気になっただけだったんだけど、透が柳と仁王も一緒にどうかと声をかけた。
その提案にゆっきも弦一郎も口を開く。


「うん、そうだね。せっかくなんだし、迷惑じゃなければどうかな?」
「そうだな。どうだ、柳、仁王。一緒に食べないか?」
「ふむ・・・。そうだな・・・、せっかくだ。よろしく頼む」
「考えとくぜよ」
「じゃあ、昨日と同じ場所で食べよう!弦一郎、ちゃんと連れて来てね」
「ああ、無論だ」
「仁王君は透と同じクラスなんでしょ?一緒に食べるなら透とおいでよ」
「そうじゃな。その時は頼む」


(うわああああああ。普通に一緒にご飯食べることに決まった!!!)

よく考えたらこれって結構凄いことなんじゃないだろうか。
グッジョブ透!

なんて考えてる間に、気付いたら私達の教室の前で。

「それじゃ、またお昼に」
「うん。また後でね」


皆に軽く手を振って教室に入る。
去り際に、透が親指をグッてやったので、私もさり気無くグッて返してみた。
もう、これだけで意思疎通できますから。

『お昼楽しみだね』
『ですよねー』


「どうした透?」
「ふふ。内緒ー」
「お前さんら、変わってるのう」



透さん、満面の笑みですね。
心から満面の笑みですね。ええ、わかります。
透の確信犯的な笑みを心にそっと納めながら席に着く。

お昼、楽しみだなー。
まあ、ある意味味がわかんなくなりそうだけど・・・・・・。
冷静に考えたら、神の子と皇帝と達人と詐欺師と一緒のお昼って・・・!!

(恐えええええええ!!!!!)


「伊織、どうしたの?」
「ううん・・・。なんでもない・・・。柳くんと仁王くんと早く仲良くなれるといいよね・・・」
「うん。そうだね。お昼休み楽しみだね」
「うん・・・・・・」


2年後の姿で考えたら、凄い絵面だなあ・・・。と思った伊織だった。














「・・・・・・あれ?早く来すぎちゃったかな?」
「んー、それっぽいね。ちょっと待ってようか」


皆を待たせちゃ悪いと思って急いで来たんだけど、1番乗りだったみたい。
ゆっきと一緒に芝生の上にちょこんと座る。風がそよそよ吹いてて気持ちがいい。
思わず寝ころんでしまいたくなりますな。


「伊織、マネの仕事はどうだい?」
「んー、今日初めてやったけどいい感じかな。そんなに大変そうじゃないし。透もいるし」
「そうか」
「ゆっきは?立海の練習はどう?」
「そうだな。朝練をやった感じではまだあまりレベルはわからないけど、先輩たちを見てるとやっぱり凄いなっって思うよ」
「そっか。やりがいがあるってやつかね?」
「ふふ、そうかも」


ゆっきが嬉しそうに笑ってる。
立海の練習、凄く楽しいんだろうな。
そんな顔を見ちゃうと、私もマネとして手が抜けないね。(もちろん手を抜いてたわけじゃないけどさ)
頑張んなきゃ!って思える。



「伊織、精市、お待たせ!」
「透!遅かったねー」
「ふふ、仁王も来たんだね」
「ま、お呼ばれしたけぇの。お邪魔するぜよ」
「お邪魔致します」
「っ!!!!」



(や、柳生だー!!!!!)


透と仁王の後ろについて、七三逆光眼鏡が丁寧にお辞儀した。
お前はサラリーマンか。(これで中学生とか有り得ない)


「始めまして。柳生比呂士と申します」
「あのね、柳生は私と同じクラスで隣の席なの。よかったらお昼一緒しないかって誘ったんだけど、よかった?」
「もちろん!私は秋原伊織です」
「俺は幸村精市だよ」
「秋原さんに、幸村くんですね。よろしくお願いします」


台詞、堅苦しいな!!そんなんじゃ息詰まるぞ!!
仕草や動きがどことなく優美な柳生。
さりげなく透を先に座らせる辺りとか・・・。これがジェントルたる所以なのだろうか。

「あ、立ち話もなんだし。座って座って」

所在なさ気に立っている柳生に、座りなよと促してみた。
ら、この人、ハンカチをお尻の下に敷きましてよ!
なんというジェントル!!



「…柳生君は、生粋の日本人、だよね?」
「そうですが」
「そうだよねー」


なんだろう。
こう、戦前とかの外国人とかこんな感じじゃない?
公園のベンチに座る時もハンカチーフを敷いて「ここに座りなよ!」って男の子がウィンクぱちーん☆て。
………ぶっふ―――――!!(笑っちゃダメ!笑っちゃダメなのよ、伊織!)


「あの、秋原さん、大丈夫ですか?」
「…!あ、……うん。だい、じょぶ!…っ!(笑いをこらえるのってきつい!!)」
「あー、柳生。気にしなくていいよ。伊織はいつもこうだから」
「ふふ、伊織は面白いね」
「ふむ。お前さんも、可笑しなやつじゃのぅ」


これが笑わずにいられるか!(バカ者どもめ!)
ていうか何で笑わずにいられるのかが分んない!!
ゆっきも仁王も私を見てにこにこしてるし。(仁王は若干にやりとしてるけど)
見てみろ!透なんて笑いたくても柳生の手前、笑えないもんだから視線が斜め下に泳いでるぞ!


『笑いたかったら笑っていいんだぞ透』
『・・笑ったら悪いと思って・・・。プッ・・・』
『・・・軽く涙目だよ?』
『いや、だって・・・今時ハンカチをお尻の下に引く男子って・・・』
『ないよね』
『うん・・・ないね』


彼らは会話に花を咲かせているが、私達の間では柳生は存在否定されていた。
だって・・・!!!ハンカチーフはないよ!!!!(爆笑)











名前のところは、また透視点で書けるかなー・・・って思っていろいろ切った^▽^;;
いらないとおもうところバッサリ切ってしまった。どうでっしゃろ
「あ、そういえば。掃除道具って、ゴルフ部に返しに行かなきゃじゃなかったっけ?」
「そうだそうだ。返さなきゃだった」
「じゃあ、私が返しに行くよ。ゴルフ部なら知り合いもいるし」
「透1人で大丈夫?私も行こうか?」
「ううん。箒と塵取りだけだし、大丈夫だよ。行ってきます!」
「はーい、いってらっしゃい」




33、5話





箒と塵取りだけ持って元気よく歩き出す。
・・・歩き出したものの、


(ゴルフ部の部室ってどこだ?)


はた、と気づいたが戻るのも面倒なので、そのまま様々な運動部が集まっている部室棟へ向かった。
テニス部は何だか特別待遇らしく、他の部と離れた場所に部室がある。

横一列に連なった部室棟。
ドアの横には、どこも古めかしい表札がかかっていて、「野球部」、「陸上部」、「サッカー部」、・・・
いろいろな部活が軒を連ねる中に、目当てのゴルフ部があった。


コンコン。

一呼吸してドアをノックをノックする。

・・・・・・・・・シーン。


もう1回ノックしてみたが、返事は無い。


「留守・・・ですかね。部活中?」


グルリとグラウンドを見回してみても、ゴルフ部らしき姿はない。
走り込みをする野球部員や、ボールを追いかけるサッカー部員の姿がチラホラ見えた。

(というか、ゴルフってグラウンドでやるようなもんじゃないよな・・・)


じゃあ、どこで?と問われたら、どこか広い所。としか答えようがない。
困った。

相変わらず掃除用具を握り締めたまま頭を捻っていると、後ろから声をかけられた。


「透さん?」
「柳生?」

後ろから聞き覚えのある声がかけられた。
パッと振り返れば、数人の新入生を引き連れた先輩に混じって、柳生の顔が見えた。

ラッキー!!人が来たよ!!



「やはり透さんでしたか。どうされたのです?」

手短に掃除用具のことを説明すると、そうでしたか。と納得したような柳生の声。
横で話を聞いていた先輩部員と思しき男子生徒も口を開く。


「ご苦労さん。マネージャーってのも大変だな」
「いえ、これも仕事のうちですし。長い間借りてたようで・・・ありがとうございました」
「いいっていいって。しかも男子テニス部だろ?何ていうか・・・そうだな、ご愁傷様ってやつかな?」
「はい?」
「あーあー。気にしないでいいよ。うん」
「?・・・はあ」


目の前の先輩は朗らかに笑っている。
何か不穏な単語が聞こえたが、一応笑顔で返しておいた。

(「ご愁傷様」ってどういうことだ・・・?)


聞くより先に、その先輩は、じゃ。という声と共に部室に入っていった。



「透さん、これから帰りですか?」
「うん。掃除も終わったし、特に予定もないしね」
「・・・部活なのに、掃除をやっていたのですか?」


不思議そうな顔をする柳生に部室の惨状を説明すると、柳生の眉が八の字になった。

(・・・この子綺麗好きそうだもんなあ・・・・・・)


「・・・大変だったんですね」
「でもマネージャーはもう一人いるし、部員の子も手伝ってくれたから。何とか大丈夫だったよ」
「それでも大変でしょう。テニス部には有望なマネージャーがいて羨ましい限りです」
「それは褒めすぎだよ柳生・・・」


柳生と並んで歩きながら、テニスコートまでの道を辿る。
どうやら柳生は見すがら送ってくれるようだ。紳士だなぁ・・・。


パコン・・・ッ  パコン・・・ッ



途中まで来たとき、人気のない方向から、規則正しいストローク音が聞こえてきた。
思わず立ち止まって音のする方向を見やる。

(の、覗きに行きたい・・・)


誰が打ってるんだろう。レギュラーかな。平部員かな。
女子かな。男子かな。
そんなことが頭を支配しはじめ、好奇心が疼いてしょうがない。


「あのさ、柳生!」
「クス・・・ええ。行ってみましょうか?・・・先程から顔に出てましたよ」


クスクスと笑う柳生に、笑わないでよ~・・・と言うと、また笑い声で返事が返ってきた。
むぅー・・・!子供扱いして・・・。


邪魔にならないように、こっそり音のする方向へ脚を向ける。
校舎の陰から覗き込むと、そこには一人のテニス部員が壁打ちをしていた。


(あ)


サラサラと軽い銀の髪が、体の動きに合わせて跳ねる。

仁王だ・・・。


打ったボールは、的確に一定の場所へと返される。
フォア、バック、フォア。
一定のリズムで返されるそれは、さながらメトロノームのようだった。



「そんなところで覗いとらんと、堂々と来ればよかろ?」
「えっ!?」


急に仁王の方から声をかけられて思わず声をあげてしまった。
仁王の後ろには目があるんだろうか・・・。
そう声をかけられては、隠れていてもしょうがないので、姿を見せる。
後ろから柳生もついてきた。


「なんじゃ、笹本か。用でもあるんか?」
「ううん、特に用事があるわけじゃないんだ。ただストロークの音が聞こえたから・・・。ごめん、邪魔するつもりじゃなかったんだけど・・・」
「別にええ。俺もそろそろ切り上げるつもりだったしのう。・・・で、そっちのお前さんは・・・」

そう言って仁王の目が柳生をとらえる。


「こんにちは仁王くん。テニス部なんですね」
「おう。話すのは初めてじゃのう。柳生・・・で合っちょるかの?」
「ええ」


悠長に会話をする仁王と柳生に驚きを隠せない。


「え?何で2人とも知ってるの?・・・顔見知り?」
「何でって・・・。みんな同じクラスじゃろうが」
「ええええええええ!!??」


お、同じクラス・・・だと!?


思考が着いていかない。
同じクラスだと!?(重要なので2回言いました)
「同じクラス」という単語が頭の中でグルグルとこだました。


「なんじゃ?気づいとらんかったんか?」
「まだ授業が始まって1日目ですからね。無理もないでしょう」

仁王の問いにブンブンと首を縦に振ると、カカカと笑う仁王と、クスリと微笑む柳生が見えた。
盲点すぎて開いた口が塞がらない。
私今絶対バカみたいな顔してる。


「クラスメイトの顔くらい覚えておいてくれたら嬉しいんじゃが
「仁王・・・くん・・・は、席どこ?(危ねー!呼び捨てするところだった!)」
「窓側、後ろから2番目。当たり席じゃろ?」

そう言って、にぃと笑う仁王。

(そうか・・・窓側の後ろかぁ・・・そんなとこ全然見てなかったよ・・・)


「俺の席からは、お前さんらがよう見えるぞ。2人とも1番前の席じゃし。ある意味結構目立っとるぞ」

仲よさそうじゃの?と笑う仁王。
含みのある笑顔なのか、純粋な興味なのかよくわかんない。
さすが詐欺師・・・(のタマゴだと信じたい)


うへー・・・2人でお掃除かー・・・
あれ何時間かければ綺麗になるかな・・・





31,5話





・・・・・・さっき見た感じ、掃除用具とかなかったよね・・・探すのも面倒だし。
先輩に聞くしかないか。

武器(掃除用具)を手にするべく、手近にいた男子生徒に声をかける。

「あの、先輩!」
「ん?何?笹本サン」


おお。名前覚えててくれてるよ。
あ、この人さっきいたレギュラーの人だ。
ええと・・・えっと・・・名前は、「小村」先輩か!

何?用事があるなら早く言ってくれない?とでもいうような目で見られる。
す、すいません!好奇心で声かけたわけじゃないんです!!


「すいません。ええと、ホウキと塵取りってあります?」
「あるけど。・・・・・・ああ、あの汚い倉庫を掃除するのか」
「はい。それで掃除用具を借りたいんです」
「・・・ちょっと待ってて」

そう言って、小村先輩(だと思うんだけど)は選手の部室の中から掃除用具をいくつか取り出してくれた。


・・・汚いって認識があるなら掃除しろよ!!!
っていうか、今「倉庫」って言ったよなこの人。言ったよな!


やっぱりあの部室、倉庫なんだ・・・。と再認識しつつ掃除用具を受け取る。
あれですか、やっぱり通過儀礼とかいうヤツですか!!
お前らには汚い倉庫がお似合いだぜ!みたいな?(あんまり考えたくない)


「これ・・・二組しかないけど、いい?」
「ありがとうございます小村先輩。貸して貰えるだけで十分です」


そうお礼を言うと、少しだけ目を見開いた。
・・・何か変なこと言ったかな。あ!この人、小村じゃないとか言いますか!?


「・・・もう名前覚えたの?」
「え、はい。レギュラーだけですけど・・・。あの、小村先輩で合ってますよね?」
「合ってる」
「あ、そうですか。よかった!」
「・・・・・・・・・・・・」
「えーと・・・その・・・・・・・っ(めっちゃ見てるー!!)」
「・・・・・・・・・・・・」


こ、この人、優しいけど目付きとか態度がちょっと・・・恐いっていうか・・・特殊!!
そして沈黙が痛い!!

ジーッと睨まれてるような、観察するような瞳で見られる。
目と目が合ったままだが、視線を外すタイミングを見失ってしまった。
空気が妙に重く感じる。

先輩の、ちょっとねこっ毛混じりの髪が風にのってサラサラと揺れる。
・・・色素薄いなあ・・・。
金髪のような、茶色のような・・・。麦の色っていうのか。
日の光でキラキラと輝いている。

(毎日お手入れしてるのかなー・・・)

なんてどうでもいい現実逃避が始まりそうになったとき、



「よっ!何楽しそうに話してんの?」



楽しそう!?これが楽しそうに見えるのか!?
気のよさそうな人がどーんと小村先輩に圧し掛かってきた。確かこの人もレギュラーだ。
ええと・・・


「なんスか北岡センパイ。重いッス・・・」
「いやぁ、お前が何か楽しそうなことしてるから邪魔しに来た」


私が思い出す前に小村先輩が名前を言ってくれた。
そうだ、北岡先輩だ。3年の。


「掃除用具握り締めちゃって。掃除でもすんの?」
「・・・掃除用具は掃除するためにあるんスよ先輩」
「俺は笹本に聞いてんだっつの!・・・ごめんな。こいつ無愛想で無口で目付き悪いけど、いい奴だから恐がらないでやって!」
「・・・失礼な」
「え?あ、はい・・・。大丈夫です・・・(酷い言われようだなおい)」

そう言うと、ニッコニッコと笑いかけてくる北岡先輩に対し、相変わらず無表情でジッと見つめてくる小村先輩。


・・・ごめん。はっきり言っていい?
こいつらも、顔が整いすぎてて目のやり場に困る!!!


小村先輩は、色素の薄いクールビューティー。
対する北岡先輩は、短い黒髪とメガネが印象的な爽やかお兄さん。って感じだ。
身長は多分どちらも180近くありそう。


顔が赤くなるのを感じて、慌てて話題を変える。

「えっと・・・先輩達は・・・その、仲いいんですね」
「あ?そう見える?俺こいつとはダブルスやってんのね。だからじゃない?」
「仲・・・いいんスかね?」
「おい!!!」


逆に北岡先輩に聞く小村先輩。なんだこいつら、漫才コンビか。
小村先輩は・・・無愛想で無口で目付き悪い。・・・らしいけど、これだけはわかる。


(・・・この人、天然だ!!)


妙な確信を得た私だった。
とにかく見かけに反して、恐い先輩ではないようだ。
いや、むしろフレンドリー?


・・・チラと時計を見ると、結構話し込んでいる。



「あ、すいませんこんなに話し込んじゃって!貴重な先輩の練習時間を・・・」
「いいっていいって、こいつも俺も休憩時間だし」
「ッス」
「それなら、よかった・・・。では、この掃除用具借りますね」
「うん。・・・あ、そうだ。それ一組はゴルフ部のなんだよね。終わったらそのまま返してきてもらっていい?」
「あ、はい。いいですけど」
「ありがとう!じゃ、掃除頑張って!秋原にもよろしく!」
「・・・じゃあ」


そう言って、先輩2人は部室の中に消えていった。
ゴルフ部のって・・・・

(借りパクかい!!借りたらちゃんと返せよ!!!)


そうだ、こいつら中学生だったんだよ・・・。と思い出した。
ここに弦一郎がいたら、多分先輩と言えど説教始めたかもしれないな・・・。

伊織の私を呼ぶ声が聞こえた。

「透ー?」
「あ、うん!今行くー!!」


よし、掃除開始だ!!!











「・・・・・・あの子達さ。どうよ?」
「なにがッスか」

笹本と別れた後、部室で小村に思わず話しかける。

「何が。ってあの子達どう思うかってこと!」
「先輩はどうなんスか」
「・・・いいと思うね。・・・だって初日から掃除やろうとしたマネなんていなかったしさ」


ドリンクの好みとかさ。
だって、普通は適当な濃さで1種類作るくらいじゃん?
まあ、こっちも作って貰ってるわけだし文句言えないしさ。
でも、あの子達は俺達のことよく考えてくれてるし、何よりやる気が感じられる。

「それって凄いことじゃね?」
「まぁ・・・」
「しかも可愛いし!」
「・・・・・・・・・・・・彼女サンに言うッスよ」
「ああもう!やめろっつーの!可愛いもんは可愛いんだから!後輩っつーのは皆可愛いんだから!」
「そうッスか」

タオルで汗を拭きながら新しいマネージャーについて考える。
5人もいるんだよな。・・・そういや、後の3人はどうしたんだろうな。


「それにしてもお前さ、結構笹本のこと気に入った?」
「・・・・・・・・・」
「照れんな照れんな!お前が女子と話してるの、俺あんまり見たことねえし」

小村の背中をバシバシと叩くと、痛いッスよ。と返ってきた。
こいつ本当面白いよな。

「逃げなかったから、いいヤツだな・・・と思って」
「・・・ああ。お前本当、目付き悪いもんな。大抵の女子は一睨みで逃げる」
「別に睨んでるわけじゃないんスけど・・・。あれッスよね・・・」

そう言って小村が言いかけた。
今日は珍しく饒舌だ。そんなに笹本が気に入ったんだろうか。


「イチゴっぽいッスよね」
「・・・は?笹本が?」
「なんか、こう・・・それっぽくないッスか?それか和菓子系」

駄目だ。こいつの不思議発言には毎回のことだがついていけない。


「・・・じゃあ秋原は?」
「・・・ヒヨコっぽい」

・・・・・・ヒヨコ?

(いや、ヒヨコはお前だろ!!生まれたてのヒヨコみたいな色素しやがって!!)


「他の3人は?・・・えーと、なんだっけ」
「桃月、島崎、山川」
「おお、それだ。お前よく覚えてたな」
「俺、人の名前覚えるの得意なんス。・・・彼女らは、あれッスね。マーブルチョコみたいな・・・」
「・・・・・・その心は?」
「可愛いのは色だけで、表面割ると中身一緒」
「なるほど」


こいつはこいつで、いろいろ思うところがあるらしい。
何にせよ、笹本と秋原の2人は、俺もこいつも好印象って感じだ。
うちの部長なんて、必要以上にニッコニッコしてて気持ち悪い。


「・・・そろそろ練習するか。湯沢に怒られそうだ」


この一週間で、新入生の何人が脱落するだろう。
骨のある1年はいるだろうか。
とりあえず1週間、様子見てやろうじゃねえの!


「・・・楽しみだな小村」
「ッス」




【終】


なんか・・・自分でも何が書きたかったんだかwwwww
小村先輩、本当天然っていうか、不思議系になった!!
ゴメンこんなはずでは!!!おかしいな\(^q^)/
こんな勝手に先輩つくっていいのかな(笑)

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