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伊織とも、弦一郎とも、精市とも、クラスが離れちゃった。

うん。まあ、別にそういうこともあるだろうけど。





22,5話








(おおー・・・これが新しい学び舎の教室ですか・・・)




うん、普通。




大して感慨深い思いを抱くことなく、教室に入る。
だって・・・人生2回目だし。
最初に外観を見たときは、「これから立海の生徒になるんだー・・・」っていう感動で胸がいっぱいだったけど、
教室が、あまりに「これぞ教室!」って感じで(そりゃそうだ)なんだかちょっと拍子抜けしてしまった。

(・・・まあこれが氷帝だったら違うのかもだけど)



私の教室は1-B。
なんと教室はⅠクラスまで。多っ!!
私は無駄に広い校舎のわけを知った気がした。



教室を見やると、何だかイス取りゲームのようになっていた。
なんでも好きに座席を決めていいらしく、やはり後ろ側の席や窓側の席中心に埋まっている。

私も例に漏れず後ろの座席を・・・・・・
スルーして、真ん中あたりの1番前の席に鞄を置いた。
物好きな・・・という目線が四方八方から飛んでくる。


ふっ・・・甘いな!真ん中の1番前の席こそ当たり席というモノ!
先生の声だって聞き漏らさないぞ!勉強だって集中できるんだぞ!
まさにお得!!学費払ってる分、知識を吸収したるわ!!


なんて、普通の中学生にはおよそ有り得ない考えを持って席に着く。
少し目が悪いというのと、人の頭で黒板が見えなかったりすることが嫌い。ということもあるが、弦一郎に感化されている気がしてならない。


(・・・・・・私はいつからこのような真面目っ子に・・・)


弦一郎の女バージョンとして、日々逞しく育っていく未来の私を想像したが、頭を振ってかき消した。


(有り得ん・・・実にくだらん妄想だ透よ・・・というか有ってたまるか!違う意味でたまらんわ!)


自分をそう叱咤するが、すでに弦一郎口調になっている私はもう駄目かもしれなかった。





「すみません、隣よろしいですか?」
「えっ!?あ、はいっ・・・・・・・・・」

一人で葛藤していた私に誰かが声をかける。




・・・・・・・・・・・・・・・・





「・・・・・・私の顔に何かついてますか?」
「い、いえ!なんでもないです!!」


(いかん!!フリーズしてしまった・・・!!なんという失態!!)


突如話しかけてきた人物の容姿をしげしげと眺める。
優雅な物腰で鞄を机横にかける「彼」。
栗色の髪の毛、キチっとしめたネクタイ、丁寧な言葉使い。

そして・・・、逆光メガネ。



や、ややややややや柳生!!??まさか柳生比呂士とかいいますか!?


かろうじてポーカーフェイスを保ててはいるものの、内心動揺しすぎて表面を取り繕う余裕がない。
気を抜いたら、ニヤニヤしてしまいそうだ。

(だ、駄目だ透!ここでニヤけたら、「不審人物」のレッテルを貼られてしまう・・・!耐えろ私!)


そんな心の中を知らない柳生(だと推定)は、私に朗らかに声をかける。
なんとなくまだ幼い声が可愛いいいいいいいいい!!!!(もう不審者)


「貴女は・・・勉強への意欲が旺盛なのですね」
「え?ああ・・・この席のこと?」
「はい。進んでこの席に着席していたものですから。素晴らしい志だと思いますよ」
「あはは、ありがとう。そういうあなたもそうだと思うな」
「ふふ・・・そうですか?」

そう言って彼は微笑む。

うわ・・・なんて爽やかな笑顔なんだろ・・・。精市とはまた違う爽やかさだよ・・・


あまりの眩しさに座ってるのに立ち眩みがしそうだった。
わ、若さって眩しい・・・!!(おい)


「そういえば、申し遅れました。私は柳生比呂士と申します。名も名乗らずに、すいませんでした」
「いえ!と、とんでもごさいませン!」

思わずこっちも敬語になる。
なんという紳士・・・!!これが噂に聞く柳生か・・・!!とても中学生とは思えん言葉遣いだ・・・

自分の幼馴染もとても中学生とは思えない言葉遣いというのはこの際無視する。



「・・・と、私も自己紹介しないと・・・!えーと、笹本透といいます。よろしく柳生くん」
「笹本さん、ですね。こちらこそよろしくお願いします」

柳生があまりに丁寧に頭を下げるので、私も慌てて頭を下げた。
ど、どっちが年上かわからん・・・




「よーし、みんな席に着けー」


そんなことを話している間に担任の先生がやってきた。
そこで一旦、会話がストップする。
まわりもガタガタと席に着く。


諸注意を話し始めた先生。名前は安部。
なんだかやる気がみなぎってる先生だ。
見た感じ30代前半?どちらかというと体育会系な感じがする。
まあ体育会系でも弦一郎で慣れてるからいいや(酷い)


「じゃあ、最後に一つ。部活動は必須だからな。立海に入ったからには文武両道に励むこと。来週末までには入部届けを顧問の先生に提出するのを忘れないようにな」


そう言って、入部希望の用紙を配布される。
解散の号が出たので、すぐに教室が騒がしくなる。



(部活かー・・・。順当に言ってテニスか剣道かなあ・・・)

柳生にも声をかけてみる。


「柳生くんは、部活どうするの?」
「私はゴルフ部に入る予定です」
「ゴルフ部?」
「はい」


あれー?テニス部じゃなくて?

私は無い頭をフル回転させる。
そういえば、元々ゴルフ部だったっていうのをどこかで読んだような・・・


「ゴルフかー・・・紳士のスポーツだね。なんか柳生くんに似合うね」
「ありがとうございます。笹本さんはどこの部活をご検討ですか?」
「うーん・・・テニス部か剣道部・・・かな?」
「なるほど、どちらかで迷ってらっしゃるんですね。・・・・・・お好きに呼んでいただいて構いませんよ」
「うん。どっちかといえばテニスかなって思ってるんだけどね。そう?私も好きに呼んでいいよ」
「そうですか。それでは透さん、とお呼びいたしましょう」
「うん。じゃあ私は柳生って呼ぶね」


そう2人で微笑みあう。

ああ、何か話しやすい・・・。凄く親しみを感じる・・・。
何だろう、今までにないくらい和むよ柳生・・・。
どうしても前世の影響で「柳生くん」じゃなくて「柳生」って呼び捨てで呼びたかったんだよ!

私は紳士から溢れ出るマイナスイオンを余すことなく満喫した。




「透。帰るぞ」
「あれ、弦一郎迎えに来てくれたの?」



見ると扉に弦一郎が立っていた。
律儀に私を迎えに来たらしい。


「お知り合いですか?」
「うん。幼馴染なんだー。じゃ、またね柳生」
「ええ。ごきげんよう」


手早く準備をして、私は弦一郎と共に教室を後にした。
「ごきげんよう」だって!!可愛い!!












 
「・・・・・・笹本さんて、本当真田にベッタベタだよねー」
「わかるー。っていうか真田も笹本さんに甘いっていうの?」
「だよね。さすが夫婦って言われるだけあるっていうか」
「『筋肉夫婦』ね。笑えるー!!」
「今メール来たけど、真田ってクラスGなんだって」
「G!?ここBなんですけど!」
「そんなに妻が気になるか!」
「あの子も変わってるよねー。真田とよく一緒にいられるっていうかー」
「あー・・・真田といると息詰まりそうだしねー」



そんな会話が2人が去った後に後ろの方から聞こえた。
きっと小学校が同じだった子達なんだろう。
それにしても、会話に品がない。

(先程の彼は、真田くんとおっしゃるのですか・・・)

先程、目が合ったときに軽く目でお辞儀をされた。
なんだか武士のような雰囲気を思わせる会釈だった。

なるほど、武士の夫に三歩下がってついて行く妻。といったような感じでしょうか・・・?
では「筋肉」とはいったい・・・。


隣の席になった彼女を思い出す。
清楚な感じの可愛らしい人。ふわっと花が咲くような笑顔。
外見は年相応なのに、雰囲気が落ち着いていた印象を受けた。
初対面なのに、あまりに違和感なく話せることに少し驚いたことを思い出す。

(そういえば、彼女は私の言葉遣いにも疑問を抱くことなく話をしていましたね・・・)

珍しい・・・。まあ、いいのですが。



そんなことを思いながら、廊下に出る。




「にゃ――――――!!透―――――!!!」
「逃げないでよ!!」


廊下を歩き出した瞬間、凄まじい音をたてて後ろのCクラスから見知らぬ2人が走ってきたと思うと、Bクラスの中を確認して、「どこ行ったんだよおおおおおお」という言葉を残して、また風のように去っていった。

私はしばし呆気にとられたが、すぐに正気を取り戻す。


ハッ!!ろ、廊下を走ってはいけません!!!


走っていった2人を思い、風紀委員にでもなろうかと思った瞬間、1人が叫んでいた言葉を思い出す。

(・・・先程の彼女は透といいましたか?)


『透』と聞いて思い出されるのは隣の席のクラスメイト。
透さんの知り合いなのだろうか。
それにしてはタイプが正反対な気もしますが・・・。
2人が走っていった方向を見る。すでに姿形も見えない。


(・・・月曜に彼女に会ったら聞いてみましょうかね)


ふふ・・・少し愉快になってきました。
月曜が楽しみですね。


ゆっくりと柳生は玄関に向かって歩き出した。
後に、今日初めて会った4人と深く関わることになるとは、そのときの柳生には想像もつかないことだった。

そして、実は今日会っていたのが5人だったということも。



「今の嵐みたいなんは、一体何だったんかのう・・・」




【完】

23.5に続くよ!!
っていうかこういうときは「続」の方がいいのかな。

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