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20090124設置
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「透!!!」

見慣れた会場のドアが見えるところまで来たところで、懐かしい(1時間ぶり)の親友の声。






番外 アメリカでのクリスマス7







「伊織!!!」


私は嬉しさで思わず駆け寄って抱きしめようとした。伊織も駆け寄ってくる。


スッパーン!!!!!


「ふぬぁっ!!!」
「このバカ!!!」


私は思いっきり頭をクリーンヒットされた。

うう・・・今の右手は世界を狙える・・・・・・
頭にジンジンと痛みが走る。


「い、痛い・・・まさかの予想外・・・」
「予想外・・・じゃねえよ!!!!お前は学習能力がないのか!!迷子になるな!!」
「だ、だって・・・!!気になったんだもん・・・」
「口答えするんじゃない!!」
「っ!はいっ!!」
「バカかお前は!バカなのかお前は!!!ごめんなさいは!!??」
「ごめんなさいっ!!!」
「んもおおお!!!心配してたんだぞ!!!」
「伊織ー・・・・・・っ!!」



伊織の言うことはもっともだ。
あれこれ伊織に言われても、全くその通りすぎて何も言い返せなかった。

うう・・・私のバカ・・・




「・・・おい」



ハッ!!!
恩人のことすっかり忘れてたよ!!!!(どーん)



伊織の剣幕に若干気圧倒され気味の跡部が口を開く。
弦一郎のときもそうだったが、気圧す伊織が凄いと思う・・・。



「なに!?今取り込み中・・・・・・・・・」


伊織が固まっている。
今始めて跡部の存在に気づいたらしい。

そして、たっぷり間を空けて一言。




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ホクロ」





って、おおおおおおおおおおおお!!!??
ビックリしすぎて思考が追いつかないのはわかるけど、「ホクロ」って・・・

さすがの跡部も、まさか出会って早々に、自分が「ほくろ」呼ばわりされるとは微塵も思ってなかったようで、軽く眉間に皺が寄っている。


「おい透・・・、誰だこの失礼な女は」
「は?失礼って。ホクロはホクロじゃ「親友の秋原伊織っていうの!!」


何故私の親友は思ったことをすぐ口にするのか。



--- アイコンタクト ---

(っていうか、なんでここに跡部がいるの!?)
(いや、私だってわかんないけど、いたんだよ!私だってビックリだよ!)
(もしかして跡部に連れて来て貰ったとか言う?)
(そうそう。絡まれてる所を助けて貰ってね・・・ってそれよりお前は自重しろよ!!)
(は?何を?)
(「ホクロ」だよ!)
(いや、自重できねえよ。「べー」だよ「べ様」だよ?しょうがなくね?)
(お前の「しょうがない」の基準がわかんねえよ!)
(本当、「ホクロ」とかウケるよね!!爆笑!)
(お前が言ったんだよ!!)



若干不機嫌気味の跡部様が皮肉っぽく言う。

「あーん?もしかして秋原貿易の娘か?あの『親バカ』の」


あ。親バカって強調して言われて伊織がちょっとヘコんでる・・・。
たしかにあれは度が過ぎてるとは思うが。


「それを言うなホクロ!たしかに親バカだけど!」
「ホクロじゃねえ・・・。跡部、景吾だ!」

流せばいいのに、いちいちムキになってるところが、跡部がまだ小学生って感じがする。
なんか可愛い。

「(無視)・・・で、ホクロがここまで連れて来てくれたんだっけ?」
「(またホクロって言った・・・)あ、うん」
「おお・・・そうか。悪かった。ありがとうホクロ」
「・・・てめぇ」

伊織は跡部の反応を見て、心底楽しそうな顔をしている。
こいつはどこまで跡部景吾をネタにしたら気が済むんだ。



そんな会話をしているうちに、会場のドアからお父さんが出てきた。
・・・・・・ぶっちゃけ会いたくない。


「伊織ちゃん、透はまだ戻って来ないのか・・・・・・って透!!!!!」


伊織の横にいる私を見つけた瞬間、凄まじい勢いでこっちにダッシュしてきた。


・・・・・・げっ!!顔が・・・ 目が・・・・・・!!!


「透!大丈夫か?怪我してないか?どこに行ってたんだ・・・あんまり可愛いから連れ去られたかと・・・!お父さんは心配で、心配で・・・息が詰まる思いだったぞ・・・」


そう涙声で言われた後に、思いっきりギューっと抱きしめられた。

(男に絡まれてました。って口が裂けても言えねええええええ・・・!!!!)


そんなこと言ったら、ボディガードと四六時中一緒にいる刑。に処されること必死だ。
私は父のウザいほどの愛を体中でひしひしと感じながら、絶対に言わない決意をした。



「おや、景吾くんじゃないか」
「・・・!お久しぶりです秋原さん」

うちのお父さんの泣き声が聞こえたのか、会場から伊織のお父さんも出てきた。
どうやら雅人さんは景吾のことを知っているらしい。
まあ当たり前といったら当たり前なのかもだけど。
「おい、晃。そろそろ泣き止めよ」という雅人さんの声に、お父さんが正気に戻った。
ナイス雅人さん。


「ああ・・・(グスッ)跡部財閥のご子息か・・・。いや、失敬。こんな姿を見せてしまって」
「いえ」


跡部が苦笑いしながら私を見ている。
こいつの家も相当親バカだな。と思ったに違いない。

は、恥ずかしい・・・・・・

「そうだ。あのねお父さん、私迷ってるところを景吾・・・くんに助けてもらったの」
「本当に?そうか・・・だから一緒にいたんだね。・・・景吾くん、うちの娘を助けてくれて本当にありがとう」

お父さんが景吾の手をとってお礼を言う。さながら国民栄誉賞のような勢いだ。
メダルがこの場にあったら景吾の首にはメダルがかけられていただろう。

「私からも・・・。改めて・・・ありがとう、景吾」

そう笑いかけると、景吾も笑みで返してくれた。
年相応の景吾の笑顔。これが中学3年時の景吾だったらこうはいかないだろうな・・・。




雅人さんが景吾に話しかける。

「景吾くん、今日はご両親と一緒かい?」
「ええ」
「そうか。それはよかった」
「よかった。といいますと?」
「いや、久々に話したくてね。知らないと思うけど、景吾くんのお父さんとは古い付き合いでね。若いときはよく一緒に飲みにいったりしたんだよ」
「それは・・・知りませんでした」


まさか秋原家と跡部家がそんな関係にあったなんて。
思わず伊織を見る。


(私も知りませんでした!)
(え!?そうなの!?)
(うん。知ってたらこんな驚かないからね)
(だよね・・・。改めて秋原家ってお金持ちなんだな・・・って思ったよ)
(私もだよ・・・)


そんな会話を娘達がしているとは知らない2人は会話を続ける。

「相変わらずしっかりしてるな景吾くん。景吾くんがいれば跡部財閥も安泰だ。羨ましい」
「恐縮です」

私達と話しているときと態度が随分違う景吾。仕事モードって感じだ。


「ところで、景吾くんはテニスがとても得意だと聞いてるよ。今度伊織と対戦してみないかい?」
「ちょっ!!お父さん!!!」
「・・・そんなに伊織さんはお強いんですか?」

景吾が面白そうな顔をして伊織を見る。
伊織の顔が引きつってるのがわかる。

何カミングアウトしてるんだこのオヤジ!!といった顔だ。
・・・だよね。お前、いろいろ面倒くさいからって隠してるんだもんね。


そうとは知らない雅人さんは言葉を続ける。

「今更何照れてるんだ伊織」

ははは。と笑う雅人さんの声。完全に伊織自慢モードだ。

(照れてねええええええ!!!!)
という伊織の心の声が聞こえた。


「去年だって日本で男の子相手に連戦連勝で帰ってきたじゃないか。それに透ちゃんだってかなりの腕前だって伊織から聞いてるよ。ね、透ちゃん」
「え!?あ、いや、伊織ほどじゃないです・・・」
(私にまで矛先を!!??)

他人の娘まで自慢する親バカモード炸裂。
もうこうなった雅人さんは止められない。


「2人とも今度胸を借りるつもりで景吾くんと試合してみたらどうだい?どうかな景吾君?」
「・・・・・・へえ、それは楽しみですね」
「「っ!!」」

景吾が今までにないくらい不適な笑みを浮かべた。

背筋に冷や汗が走る。

((跡部景吾と試合なんて・・・絶対絶対絶対いやだああああああ!!!!!))








それからが、また長かった。
会場に戻って、景吾の両親や私達のお母さん達が加わって、どんどん話は弾んでいく。
景吾のお父さんは、凄くダンディ。雰囲気がドッシリとしていて風格のあるオジ様。
景吾のお母さんは、明るく優しい感じの美女。景吾は絶対お母さん似!!目元がよく似ていた。


回りは、大人も子供も含めて、秋原家、笹本家、跡部家、が家族ぐるみで会話していることに何やらざわついていた。
特に、年が近い女の子達。
私と伊織を射るように睨み付けている子もいる。

(気持ちはわかる!景吾はとらないから、そんな目で見るな!切ない!!)

体中に視線の矢を浴びながら、私は黙々とケーキを食べ続けた。








「・・・・・・じゃあここで。」
「ああ。今日は久々に会えて嬉しかった」
「俺もだ雅人。それに、笹本さんとも」
「ええ。跡部さんとお話できて、大変興味深かったです」




気づけばもうパーティもお開きの時間。
その間に、すっかり打ち解けあった3つの家族。

帰る頃には、
景吾→「伊織」、「透」
伊織→「けーご」
透→「景吾」
と呼び合うようになった。

いや、時折伊織が「ホクロ」って呼んだり、景吾が「失礼女」とか言ってたけど・・・・・・(苦笑)



黒塗りのリムジンが跡部家を乗せて静かに去っていく。
景吾とはメールアドレスや電話番号なんかは一切交換しなかった。
交換しなくても、きっとテニスをしている限りまた会えるだろうから。
伊織と相談してそう決めた。


お父さんにしてみたら、あの天下の跡部財閥と個人的な関わりができたなんて、夢のような出来事だったと思う。
帰りの車の中でも、まだ「未だに信じられないよ!」と興奮気味だ。



『まさか、あの「跡部様」が会場にいるなんてね』
『だよね!予想外にも程があるよ』
『ね。それにしても景吾のお父さん・・・ダンディだわ・・・思わず「おじ様」って言いそうに・・・』
『わかる!うちの父とは大違いだ』
『・・・雅人さんだって格好いいのに・・・。でも伊織は跡部父にやたらと気に入られてたよね』
『えー?透だってそうじゃん。「結婚」とかいう単語が出たときの晃さんの表情見た?爆笑!』
『それを言うな!!雅人さんだって目が笑ってなかったの見たぞ!』
『あー、うん。その場の温度が2度くらい下がったよね・・・』
『っていうか・・・本当に政略結婚とかある世界なんだ・・・この金持ち世界・・・』
『でも跡部と結婚はねえわ。ねえよ』
『曽根山よりは全然いいと思うけど。まあ・・・格好いいし』
『透って意外とけーごのこと・・・っていうか誰だよ曽根山』


ああ、忘れてたよ説明するの。

私はその時のことを伊織に手早く説明した。
もちろん前の方の座席に座っているお父さんには聞こえないように小さな声で。


『うわ、最悪』
『でしょ?』
『うん、事情はよーくわかった・・・・・・曽根山か・・・。そいつが言うように、そこそこデカいなら・・・もしかしたら発注請け負ってるかも・・・』
『はい?』
『こういうこと相談するのよくないってわかってるけど・・・やっぱさー、ちょっとムカつくもんねー・・・』
『?一人で何言ってんの?』
『ま、気にすんな』
『????』
『それよりさー・・・』






車は私を疑問系にしたまま家へ向かって走っていく。

私は忘れていた。
秋原家が貿易商最大手のグループであることを。
伊織がその秋原家の令嬢だってことを。


その後も絶えないお喋りは続き、自宅に着く頃には2人ともグッスリ眠っていて、
気づけば自室のベッドの上で。

だから、そんな疑問も朝起きたらすっかり忘れていた。





「んー!よく寝たー!!」




今日はリョーマに会える日だ。
今からとっても楽しみ。


・・・?でもあれ?なんか忘れてるような・・・

・・・・・・・・・まあいっか。




予想外の連続だったクリスマスは、そんな予想の範囲内の終わり方で締めくくられた。










「あのね・・・お父さん、ちょっとお願いがあるんだけど・・・」
「どうした伊織?朝からそんな神妙な顔して」


だから、そんな会話が秋原家で行われていたなんていうのは、そのときの私には全く知る由もなかった。




【完】


完成!!!できた!!!\(^0^)/
あとは、伊織目線の方で補足よろしく!!!

一応、リョーマとは結局会えなかった方向でお願いしたい。
インフルエンザとか?(笑)

あと、伊織ちゃんが相談してたのはもちろん曽根山グループが頼んでた輸入の発注を一旦ストップってうか、書類見通し?再検討?みたいな。
なんていうかちょっとハライセ?(笑)をお願いをする方向で。
でも、一応曽根山グループは跡部財閥の傘下っていう設定だから、跡部の父ちゃんにも雅人さんから連絡いれたらいいよ。
それで、息子はめっちゃくっちゃ親父に怒られたらいいよ(´∀`)

いろいろ任せる!!
伊織視点とか跡部視点とか楽しみにしてるね!!!



あと、「つづきはこちら」とかブログに表示されてるかもだけど、実際は何もないから(笑)
勝手に表示されてるだけだからwwww




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